新型コロナの影響から家にいる時間が増え、ごはんを家で食べる機会が増えました。家事の大変さがあらためて浮かび上がります。
日々のごはん作りを担当されている方、毎日本当におつかれさまです!
炊事に関するお悩み、共有していきませんか。そして「誰かに作ってもらっている人」も、ぜひ読んでください。ねぎらい合うためのヒントが、必ずやあると思います。
福島県 皐月さん 24歳
ひとり暮らしの学生です。自分の作る料理は普通においしいし、作るのも楽しくて好きです。今はYouTubeやTwitterなどで見かけたレシピを試して、料理を楽しんでいます。
その一方で、自分のご飯の味がマンネリになってしまって、なんだか味気なく、ありきたりに感じてしまって、ごはんを作ろうという意欲や食欲がわかないこともよくあり、悩んでいます。
友人など、誰か食べてくれる相手がいれば、張り切って作れますし、そのときのごはんはおいしいように感じます。もしかしたら孤独感も、料理の味に関係しているのかもしれません。
白央さんはご自身で作るお料理に対して、このように感じたことはありますか。そのときに、対策としてどのようなことをしていらっしゃいますか。
皐月さん、お悩みを寄せてくれてありがとうございます。「自分の作る味がマンネリに思えて味気ない」こと、私なんかもうしょっちゅうですよ(笑)。日常的に料理される方で、定期的にそういう思いになる人はたくさんいるように感じています。
私なりの対処法を、以下に書いてみますね。
1.あえて「あまり興味の持てない料理」を作ってみる
レシピ記事などで「あ、これ作ってみたい!」と思うものって、やっぱり自分好みの味つけやジャンルであることが多いんですね。つまり、これまでよく食べて、作ってきたような料理。私はマンネリを感じているときは、あえて「普段だったら作ろうと思わないかも」的な料理を探して、作ってみます。
たとえば、嫌いではないけど、好きというわけでもない食材がメインのもの。定番のおそうざいではあるけど、作ったことのないもの。お店で食べたことはあるけど、作ったことはないものなど。扱ったことのない食材や、知ってはいるけど作ろうと思わなかったものにトライしてみると、何かしら発見があって、新鮮な気持ちを得られることがあると思います。
2.誰かが料理するところを見てみる
たとえば野菜炒めひとつにしても、作る人が変わると「そう作るのか」という発見があって、面白いものです。その面白さは、自分の気持ちにちょっと風穴を開けてくれますよ。ひとり暮らしをされているとのことですが、料理好きの友人でもいいし、可能ならば料理教室もおすすめ。料理動画を上げている料理家さんをチェックして、気になる人を見つけるのもいいかと。
作るのを見るのは、自分が作ったことのある料理だとなおいいですよ。「こんなやり方があるのか」「こういうふうにも作れるんだ」という気持ちは、マンネリに落ちてる自分をけっこう引き上げてくれます。
3.ちょっと料理から離れてみる
私が一番よくやる対処法って、実はこれなんです。
自分の料理が味気なく思えるときは、味わい云々というよりも、そもそも心身がなんらかの理由で疲れているときが多いです。そういうときは、自分を休めることを最優先させるが吉。
私は買いだめしているお気に入りのレトルトカレーかインスタントラーメンでも食べて、できるだけたっぷり寝ます。それで「きょうは、作ろうかな」と思えるときが来たら、やるようにして。勉強でも趣味でも同じじゃないかと思うのですが、意欲の出ないときに無理してやると、ダメージも倍増というか、そのものに対するネガティブな思いが増してしまうことも。無理をせずに意欲のわかないときはスパッとしばらく離れるのも、料理といい関係を保つ上で大事だと私は思います。
料理というのは、趣味ならば楽しさだけを追求もできますが、日常生活の一部として続けていく場合だと、面倒なことやしんどさも生まれてきます。これは避けがたいことです。どうか、自分なりのうまいやり過ごし方を見つけてくださいね。
白央篤司(はくおうあつし)
1975年生まれ。「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と平日の洗濯、猫2匹の世話を担当。Twitter、ブログ
(編集:笹川かおり)