中国広東省・深セン市などは9月29日までに、建国記念日にあたる「国慶節」期間中の大型ライトアップショーを中止すると発表した。中国では厳格な環境政策などの影響で電力不足が深刻化し、経済成長の下押し圧力となる懸念もある。
■恒例の光景が中止に
中国は10月1日に建国記念日にあたる「国慶節」を迎え、休暇シーズンとなる。例年、各都市では商業ビルなどを活用したライトアップショーなどが開催されてきたが、電力不足の深刻化を受け、深セン市は大規模なライトアップショーを取りやめる。雰囲気づくりのため、夜景のライトアップ自体は実施するが時間を従来の予定より30分短縮する。
市当局の責任者は中国メディアに対し「ショー自体の消費電力は大きくないが、大規模な夜景ライトアップになると比較的大きい」と話している。
また広東省の省都・広州市も同様に国慶節期間はライトアップショーを取りやめる。
■電力不足、なぜ?
中国では電力不足が深刻化している。
東北部の遼寧省瀋陽市で信号機が停電してしまい渋滞が発生したと報じられたほか、製造業の盛んな地域では1週間あたりの操業可能時間が2日や3日程度に制限されるなど、生産活動にも影響が出始めている。中国全体の経済成長の下押し圧力となる懸念もある。
こうした背景には、習近平指導部が掲げるCO2(二酸化炭素)の削減目標があるとみられる。各地方政府はエネルギー消費量などを削減するよう求められていて、前年の同じ時期よりも増加した場合には「赤色」の警告が与えられるなど厳格な管理が施されている。
中国では電力の大部分を石炭による火力発電に頼っているが、こうした政策を受け発電量が減っているとみられる。石炭の価格上昇も響いた可能性がある。
さらにブルームバーグは9月28日、中国政府がオーストラリアからの石炭を制限したことが「さらに事態を深刻にしている」と指摘した。
オーストラリアでは2020年4月、モリソン首相が新型コロナウイルスの起源に関する国際調査の必要性を訴えたところ、中国が反発。報復措置として大麦やワインなどに追加関税を課していた。石炭もこうした措置の対象に入っていて、9月6日付のCNN報道によると、石炭の対中輸出は過去1年で3300万トン減少したという。