9月からNetflixでシーズン3の配信が始まったドラマ『セックス・エデュケーション』。
イギリスを舞台に、10代の高校生たちを中心に性教育や多様なセクシュアリティ、ジェンダーなどをテーマにしており、日本でも高い人気を誇っている。
本作の特徴の一つとしてあげられるのが、作品の制作にインティマシー・コーディネーターが携わっていること。インティマシー・コーディネーターとは、セックスシーンやヌードシーン、キスシーンなどの性的なシーンを撮影する際に、俳優を身体的・精神的に守りサポートする仕事で、近年アメリカの映像業界を中心に、注目が集まっている。
その背景には、#MeToo以降、複数の俳優が、過去に撮影した性的なシーンで、本人の意志に背いた強要や精神的苦痛を感じたという経験を明かすようになったことなどがある。
『セックス・エデュケーション』でメインキャラクターの1人であるエイミーを演じるエイミー・ルー・ウッドさんは、アメリカのエンタメサイトColliderのインタビューで、撮影でインティマシー・コーディネーターから性的同意に関し、ある重要なことについて教わったと明かした。
「絶対的なイエスだけがイエス」
ウッドさんは、『セックス・エデュケーション』でセックスシーンを演じた。インティマシー・コーディネーターとして撮影に参加したのが、イギリスを中心に、BBC制作作品など多くの映画・ドラマに携わってきたイタ・オブライエンさんだ。
インティマシー・コーディネーターは性的なシーンの撮影前、台本をもとに俳優に対し、意に反することや不安なことはないかなどを確認する。
その際に、ウッドさんが、「たぶん大丈夫」という言い方をすると、オブライエンさんはこう返したという。
「エイミー。私に一つ言わせて。ノーはノーで、そして『たぶん大丈夫』もノーということ。もしあなたが『たぶん大丈夫』と言うならば、それはノーということです。
妥協して同意すれば、その後とてもひどい気分になる。自分にとって、100%大丈夫ではないことをしてしまえば、あなたは二日酔いみたいに、ひどく傷つくことを経験することになります」
ウッドさんは、性的なシーンを撮影するよう「誰かが私に圧力をかけていたわけではない」といい、「『たぶんできる。たぶんできる』といった感じだった」と当時の心境を振り返った。
ウッドさんは、オブライエンさんから「すべてのセックスシーン、すべての親密な状況で、ノーはノーであり、『たぶん』もノーであることを覚えておいて。たった一つ、絶対的なイエスだけがイエス」なのだと教わったとも明かした。
Netflixでは、『セックス・エデュケーション』の他にも『ブリジャートン家』などの一部の作品で、インティマシー・コーディネーターを起用している。また『セックス・アンド・ザ・シティ』や『ゲーム・オブ・スローンズ』などで知られる大手ケーブルテレビ局HBOは、2018年以降に制作したドラマ・映画の全作品で起用するなど、アメリカのエンターテインメント業界では、インティマシー・コーディネーターの重要性が認知され始めている。