自民党総裁選で4候補者が論戦を繰り広げている中、豊田章男・トヨタ自動車社長の候補者たちに向けた発言が改めて注目されている。
「真面目に働いている国民が『今日より明日はきっと良くなる』。そう思える国にしてください。それに尽きると思っています」
この発言は、9月18日に三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開いた記者会見での一コマ。トヨタの社長が自民党総裁選の候補者たちに注文を付けたとあって話題になっている。しかも、スーパー耐久第5戦に参戦するため、レーシングスーツ姿だった。
自民党総裁選は事実上、次の首相、いわばこの国のリーダーを決める選挙。自動車レースの記者会見で総裁選の質問を受けた豊田社長は「ひとこと言いたいのは」と切り出し、「私たちは昨年のコロナからずっと現実は変わっておりません」と指摘した。
新型コロナウイルスの感染拡大という現実は変わっていないのに、コロナ禍から東京五輪・パラリンピック、そして自民党総裁選へと舞台が変わっているように伝えられていると苦言を呈し、「我々国民というか、現実は何も変わっていない」と重ねて強調した。
そして、次のように続けた。「いろいろな我慢と犠牲の上に(成り)立っており、会社が潰れてしまった人たちもいますし、仕事を失った人がいるのも現実。そんな中で、真面目に働いている国民や企業が報われない。しかも、むしろ馬鹿を見るみたいなのが、今の日本の現状であり、そんな国には絶対にしてほしくない」と。
さらに、「我々、『正解を言ってほしい』と国のリーダーに求めているわけでもございません。『正解が分からない世界なんだ』ということは、国民みんな知っていると思う」と言及。
「国のリーダーに今してほしいのは、『正解を出してほしい』じゃなくて、真面目に働いている国民が『今日より明日はきっと良くなる』。そう思える国にしてください。それに尽きると思っています」と注文を付けた。