住まい選びで高まる「減災」情報ニーズ 住宅情報サイト大手がハザードマップ機能を搭載

豪雨災害などの自然災害が毎年、大きな被害をもたらしている日本。住まい選びでも「減災」の視点を重視する傾向が高まっている。

自然災害でたびたび大きな被害が出ている日本で、住まい選びの際の「災害リスク」に関心が高まっている。

2割超す世帯に災害リスクの推計も

国土交通省によると、国内で土砂災害や水害のリスクのある地域に住んでいる世帯は全国で約1200万世帯で、総世帯数の約23%にのぼると推計されている。

そこで、日本最大級の不動産住宅情報サイトを運営する「LIFULL」(ライフル、東京都千代田区) が自社サイト「ライフルホームズ」で、洪水や土砂災害、地震によるリスクを地図上に可視化した「ハザードマップ」の提供を始めた。

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災害に強いエリア?調べる人が増加

ライフルの調査によると、住宅を売買したり借りたりする際に物件周辺の災害リスクを調べた人の割合は、2019年から2021年の間に6%以上増えていた

そこで同社は、①洪水、②土砂災害、③地震が起きたときの最大震度、④液状化のリスクを知ることができる「ハザードマップ」を「ホームズ」のスマホ版サイトに実装。新築戸建て住宅物件を対象に、2021年6月からサービスの提供を始めた。

同社によると、国内の主要な住宅情報サイトでは初の取り組みという。

ライフル提供

住まい探しの初期段階でリスクを把握

ハザードマップは従来、国や自治体などの公的機関の情報サイトに掲載されているものをユーザーが別途、確認する必要があった。

アメリカでは、民間の住宅情報サイトが洪水や干ばつ、山火事などの災害リスク情報を提供するサービスが一足早く始まっているが、広告主に敬遠される懸念などから、導入を躊躇する動きもあるという。

ライフルでは、ユーザーの関心が高く、また2020年には宅地建物取引業法施行規則が改正され、水害リスクを不動産の取引時にハザードマップで説明することが業者に義務づけられたことを受けて、住まい探しの初期段階からユーザーに災害リスク情報を提供し、「減災」に役立ててもらうことにした。

色覚障害がある人にも見やすい色や柄を採用したバリアフリー仕様で、提供開始からハザードマップの利用率は高まっているという。

同社の開発担当者は「現在はスマホ版の新築一戸建てカテゴリーに限定されたサービスだが、今後は対象を広げていきたい」と話している。