韓国のグループBTSが9月20日、アメリカ・ニューヨークの国連本部で、イベント「SDGモーメント」に出席した。
メンバーたちはスピーチで、新型コロナウイルスの影響でコンサートツアーが中止になるなど、葛藤した日々があったことを明かした。その上で、「これまで当たり前だと感じていた瞬間の大切さに気づく時間でもありました」と述べた。
若い世代の中で、環境問題への意識が高まっていることにも言及。「これからの世界のために、自ら考え、答えを探している人たちがいます」「この世代は変化を恐れるのではなく、『ようこそ』と言いながら前に進んでいっている」などと話し、未来への希望を訴えた。
メンバーたちのスピーチ全文は以下の通り。
<全文>
RM「尊敬するアブドラ・シャーヒド第76回国連総会議長、アントニオ・グテーレス国連事務総長、文在寅(ムンジェイン)大統領、そして各国首脳の皆様、今日この場にいることができて光栄です。韓国の大統領特使のBTSです。私たちは今日、未来世代の話を伝えようとここに来ました。まず、全世界の10代、20代に、この2年はどうだったか、今はどんな生活を続けているか、聞いてみたいと思います。どんな答えがあったのか、私たちが受け取った回答を、JINさんが紹介してくれます」
JIN「(『生き続けよう』などと書かれたボードを指して)見るだけで、良い雰囲気を感じられるのではないでしょうか。この2年は、実は私も当惑して途方に暮れる時がありました。ですが、それでも『生き続けよう』『この瞬間にベストを尽くそう』と叫ぶ人々がいました」
JIMIN「なぜなら、一番多様な挑戦ができる時期に、立ち止まってばかりはいられないからです。誰かのせいにするわけにもいかず、不満を抱えたことでしょう。私は昨日と同じなのに、世界は一瞬にして、パラレルワールドになったかのように変わってしまいました」
JK「入学式や卒業式が中止になったというニュースを聞いた時も残念でした。これらはみなさんの人生にとって、お祝いする瞬間です。これらの瞬間を逃すことになり、気持ちが動揺したことでしょう。私たちも、長い間準備をしてきたコンサートツアーが中止になってしまい、悲しい思いをしました。私たちが完成したかった瞬間を、しばらく切望していました」
SUGA「そうです。私たちにとって、新型コロナで失われたものへの、ある種の哀悼が必要な時間でした。これまで当たり前だと感じていた瞬間の大切さに気づく時間でもありました」
JIMIN「今、SUGAさんが、当然だと思っていたかけがえのないことについて話してくれました。私たちの質問にも、大切だった瞬間を残した写真で答えてくれた方が多かったです。特に、自然とともに写った写真が多く届きました。この2年間、自然を体験し、大切にする時間が特別だと感じたのだと思います」
J-HOPE「地球で、私たちに残された時間があまりないという不安が感じられるようになったからかもしれません。私たちが哀悼するべきことについてお話ししましたが、地球への哀悼を考えると、ゾッとします。気候変動が重要な問題ということは、全ての人が同意します。ですが、何が最善の解決策なのかということは、本当に簡単ではありません。一概に言うには難しいテーマです」
RM「そうですね、難しいです。ですが今日のために準備する間に学んだのは、環境問題に関心を持ち、専門分野として学ぶ若い人も多いということでした。未来は未踏の領域で、そこではより多くの時間を過ごすため、どのように生きるべきかという問いの答えを探していました」
V「私たちの未来が恐ろしい暗闇だと思わないでほしいです。これからの世界のために、自ら考え、答えを探している人たちがいます。私たちの物語にはまだ多くのページが残っています。そのエンディングがすでに決まっているかのように語るべきではないと思っています」
JK「もちろん、準備が整ったとしても、世の中が止まってしまったように感じる時もあるし、道に迷ったように思う時もあります。私たちも同じように感じた時がありました」
RM「今の10代、20代の人たちが『コロナロストジェネレーション』と呼ばれていると聞いたことがあります。新たな挑戦をするべき最も多様な機会が必要な時期に道に迷ったのだ、と。しかし、大人たちの目に見えないからと言って、道に迷ったとは言い難いと思います」
JIMIN「この写真を見てください。オンラインを活用して新しい方法で友情を育み、新しいことを学び、より健康に生きようとする努力をする人たちがたくさんいます。道に迷っているようには見えません。勇気を出して、新たな挑戦に踏み出しているように見えます」
JIN「『ロストジェネレーション』ではなく、『ウェルカムジェネレーション」という名前の方が、ふさわしいと思います。なぜなら、この世代は変化を恐れるのではなく、『ようこそ』と言いながら前に進んでいっているからです」
RM「その通りです。可能性と希望を信じていれば、例え予想外のことが起きても、道を見失うことなく、新しい道を見つけることができます」
SUGA「私たちが選ぶ道の中に、完璧ではないものもあるでしょう。ですが、だからといって、できることが何もないというわけではないのです」
J-HOPE「重要なのは、変化に直面したときに私たちがどんな選択をするかです。私たちが国連に来ると聞いて、(新型コロナの)ワクチンを接種したのか疑問に思っている人も多いと思います。この機会に、私は『Yes』と言います。私たち7人全員がワクチンを打ちました」
RM「ワクチン接種は、私たちを待っているファンに会うため、そしてこの場でみなさんの前に立つためのチケットのようなものでした。今日お伝えしたメッセージのように、今できることを私たちはしています」
V「ワクチンのように、新しい現実を前に進める努力が続けられています。再び顔を合わせることができる日も遠くないと思います。その時まで、ポジティブなエネルギーで日常を満たしていけることを願っています」
RM「世界は止まってしまったとかつては思いましたが、前進しています。私たちのすべての選択は、変化の始まりだと信じています。終わりではないのです。新たな世界に、互いに『ようこそ!』と言ってくれたらうれしいです。今からお聞きいただく『Permission to Dance』は、みなさんと共有したい私たちの『ウェルカム』のメッセージです」