自民党総裁選に立候補した4人による討論会が9月20日に開かれ、新型コロナウイルスの影響で学費が払えないなど生活に困窮する学生への支援について、候補4人が見解を示した。
9月29日に投開票される自民党総裁選挙には、届け出順で河野太郎・規制改革担当大臣、岸田文雄・前政調会長、高市早苗・前総務大臣、野田聖子・幹事長代行の4人が立候補している。
この日は自民党青年局と女性局が主催した公開討論会が開かれた。
この中で党大阪府連学生部は、新型コロナウイルスの影響で、学費が支払えなくなったり、アルバイトが減り生活が困窮したりしている学生がいると指摘。こうした学生にどのような支援をするか質問した。
これに対し、まず河野氏は「出世払い」型の奨学金に言及。「将来、自分の所得に応じて返済金額を決める。稼いでいる人には少し多めに払っていただいて、なかなか所得の上がらない人にはそれなりに、という出世払いのような奨学金はできないかと思っている」とし、「返さなくてもいい奨学金を増やしていくというのも大事なことだ」と話した。
その上で、食費に困る学生を対象としたコメや野菜の現物支給を提案。「手段として十分あり得るだろう。日本の農家が作ってくれた美味しいもので学生さんをしっかりバックアップする」と訴えた。
続いて岸田氏は「コロナとの戦いは2年目に入った。短大で学んでいる学生さんたちはもう短大生活が終わってしまう状況だ」と指摘。現金給付に触れたうえでアルバイトについては「シフトが減ってしまった一方で、人を求めている分野もある。マッチングといった工夫もしなければならない」とした。
さらに、オーストラリアのHECS(ヘックス/高等教育拠出金制度)を例に挙げ、河野氏同様に「出世払い」型の奨学金制度の必要性を訴えた。
高市氏もこの「出世払い」型について「2人の候補(河野氏、岸田氏)と同じだ」と同調。その上で、食べるものに困っている学生について「子ども食堂というのもあるが、こちらへの支援とともにフードバンクへの支援をとても強化をしたいと思っている」と話し、「皆様の若い力と日本の未来を切り開いていく可能性について大いに期待している」と締めくくった。
最後に野田氏は、「速やかに困窮している学生に現金給付をすべきと言い切る」と訴えた。財源として「予備費、補正費、何でもいいからかき集めて、赤字国債でもいい。学生さんたちが将来大人になった時に、労働で、消費で戻ってくる先行投資だという気持ちで大胆に出費をするべきだ」とした。そして「奨学金とか限定をつけることなく、今困っている人に速やかに生きる手立てを与えることが最優先課題だ」と指摘した。