ニューヨーク市の中心地マンハッタンで9月、数百羽の野鳥が死んでいるのが見つかった。高層ビルに激突したことが原因とみられる。米国では、高層ビルに衝突して死ぬ野鳥が年間およそ6億羽に及ぶとの調査結果もあり、保護団体は対策を求めている。
(※動物の死骸の写真を掲載しています。閲覧にはご注意ください)
200羽以上の鳥が...ボランティアがツイート
鳥の大量死を報告したのは、野鳥保護団体「オーデュボン協会」でボランティア活動を行うメリッサ・ブライヤーさん。
9月14日、自身のTwitterに大量の野鳥の死骸をうつした写真を投稿した。死骸は、世界貿易センタービルの跡地に建てられたワン・ワールド・トレード・センター付近で見つかったという。
ブライヤーさんは動画も投稿。動画には、歩道に横たわった鳥を次々と手に取っていく様子が映されている。
ブライヤーさんは、ツイートで「照明を暗くしたり、窓のガラスを処理したりするべきだ。対策を急いでほしい」と訴えている。
何が起きたのか?
野鳥は、高層ビルの窓や壁に衝突したとみられる。
「オーデュボン協会」の自然保護および科学担当副所長のケイトリン・パーキンス氏は、悪天候が野鳥の大量死の原因になったとの見解を示した。
荒れた天気により鳥が普段よりも低空を飛んだか、方向感覚を失った可能性があるという。曇りの夜空では、人工的な照明が鳥に与える影響も強くなると、パーキンス氏は説明した。
高層ビルのバードストライク、都心部で深刻
保護団体は、高層ビルが立ち並ぶ都心部でのバードストライクが深刻になっているとして、対策を求めている。
米コーネル大学鳥類学研究所は2019年、米国内で高層ビルにぶつかって死ぬ野鳥が年間およそ6億羽にも上るとの調査結果を発表した。建物の照明で方向感覚を失ったり、窓ガラスを認識できずにぶつかったりしてしまうという。
ニューヨーク市では、建物の衝突により毎年23万羽もの鳥が死亡していると推定されていた。
こうした事態を受け、ニューヨーク市議会は2019年12月、建物を新しく建てたり改装したりする際に、バードストライクを防ぐ加工を施した“鳥に優しい”窓ガラスを使うよう義務づける条例案を可決。条例は2021年1月より発効された。