河野太郎行政改革担当相(58)は9月10日夕、国会内で記者会見し、9月17日に告示、29日に投開票される自民党総裁選への立候補を表明した。立候補の表明は、岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務相(60)に続き、3人目。
河野氏は衆院神奈川15区選出で、当選8回。麻生派に所属している。自民党が野党だった2009年の総裁選にも立候補した。当時は、谷垣禎一氏、西村康稔氏と争い、地方票・国会議員票を合わせて2位となる計144票を集めたが、計300票を集めた谷垣氏に敗れていた。
この日の会見では、「皆さんの思いや不安を受け止め、情報を皆さんと共有し、しっかりとしたメッセージを出し、皆さんと一緒にこの直面する危機を乗り越えていかなければならないと思っている」と総裁選への意気込みを語った。
河野氏は冒頭、自身が取り組んできた脱ハンコやテレワークの推進といったデジタル化の実績を強調。ワクチン接種についても「少なくとも1回目の接種をした全人口に対する割合はアメリカと肩を並べた」とアピールした。
一方、自身のTwitterアカウントで他のアカウントに対するブロック行為を行っている河野氏。Twitterでは9月7日未明から河野氏からブロックされているとする報告が続出し、「#河野さんにブロックされています」というハッシュタグが一時トレンド入りした。
この日の会見では、記者から「総理・総裁になってもTwitterなどのSNSを通じた情報発信を行っていきたいか」と問われると、「はい」と答えた。
また、首相会見のあり方をめぐり、改革する考えがあるかどうか問われ、「しっかりと国民と対話ができるようなスタイルをとっていきたいと考えている。記者会見もあるだろうし、直接国民に語りかける、あるいはネットを通じてやりとりをする様々な方法があるんだろうと思う」と語った。
自民党内きっての「脱原発派」として知られる河野氏。会見ではエネルギー政策についての質問も飛んだ。
「いずれ原子力がゼロになるだろうと思う」とした上で、「2050年にカーボンニュートラルを実現するためには、まずきちんと省エネをやる。もう一つは、再生可能エネルギーを最大限、最優先で導入していく。それでも足らないところは安全が確認された原発を当面は再稼働していく、それが現実的なんだろうと思っている」と述べ、原発再稼働を容認する考えを改めて示した。
立候補表明に先立つ9月8日、河野氏は原発について、「安全が確認されたものを再稼働するのは、カーボンニュートラルをめざすうえである程度必要だ」と述べるなど、党内の原発推進派などへの配慮を見せていた。
この日の会見で記者団から「自分を今現在、脱原発派だと考えるか」と問われると、「どういう定義で脱原発というのかというのが、人によって違うと思いますから、一つの言葉でくくるのはやめておいた方がいいと思います」と述べ、明確には答えなかった。一方、原発の新増設については「現時点で現実的ではないと思っている」と語った。
森友学園をめぐる問題については、再調査については「必要ない」との考えを示した。
総裁選には、ほかに野田聖子幹事長代行(61)も立候補に意欲を見せているほか、石破茂元幹事長(64)も検討しているとされる。