選挙での投票率が総じて低い日本。来る衆議院議員選挙に向けて、「投票率75%」を目指すプロジェクトが始まった。発起人となったのは、子どもの貧困問題に取り組むNPO法人など、複数の団体代表者や大学生たちだ。
10〜40代の若者・現役世代はどんな政策を重視するのか、インターネット調査を実施。調査を元に「10の争点」を決め、政党や候補者にアンケートを行うという。
選挙で関心の高いテーマは?アンケートを募集中
プロジェクト名は「目指せ!投票率75%」。
実行委員には、子どもの貧困問題に取り組んできたNPO法人「キッズドア」理事長の渡辺由美子さんなど、社会課題に取り組む団体代表者ら8人が名を連ねる。
アンケート調査などを通じて政治参加や投票率アップを促し、若者から現役世代の声を政治に届けることが狙いだ。
プロジェクトでは、関心の高い政策分野について聞くインターネットアンケートを実施。8月31日まで意見を募り、集計結果をふまえて「10の争点」を設定するという。さらに「10の争点」について各政党や候補者にアンケートをとり、結果を公表する予定だ。
選挙期間中にも、10の争点について考えるオンラインセミナーなどを実施するという。
「若者が投票に行かないと変わらない」
プロジェクトの背景にあるのは、若者や現役世代の意思を政治に反映させたいという思いだ。
前回(2017年)の衆院選の投票率は全体で54%だった。30歳以下の投票率は低い水準にとどまり、10代は40%、20代は34%、30代は45%と5割を切った。40代も54%とわずかに5割を上回るという結果だ。一方で60代の投票率は72%で、各世代の中で最も多かった。
「キッズドア」の渡辺さんは、「投票率が低い中で、今の日本は元気がなくなっているのではないか。みんなが国づくりに参加していくことが非常に重要」だと指摘。プロジェクトへの参加を呼びかけた。
実行委員会には、大学生など30歳以下の若い世代も参加した。
若い世代の声を政治に反映させるために活動を続ける一般社団法人「日本若者協議会」の代表理事・室橋祐貴さんは、「コロナ禍の学生支援など、若者の声が政策に反映される成功事例は生まれてきていますが、教育費の家計負担など、若者に対する根本的な公的支出の割合は非常に低い」と話す。
OECD(経済協力開発機構)の調査によると、国内総生産(GDP)のうち初等教育から高等教育までの教育機関に対する公的支出の割合は、日本はOECD加盟国の中で最も低い。
「若者が投票に行かないとなかなか変わらない」と訴えた。
「選挙に行けば、変えられる」
プロジェクトでは、若者や現役世代の投票率がなぜ低いのか、原因や背景の調査にも取り組むという。
大学生でつくるNPO法人「ドットジェイピー」の細谷柊太さんは、「何かを変えられるというイメージがあるかどうかで政治参加への思いは変わっていくのではないか」と指摘する。「選挙に行くことでルールを変えられる、変えられる可能性があると若者がイメージできるようにすることが大事なのではないか」と話した。
模擬選挙推進ネットワーク代表・事務局長の林大介さんは、声を上げたり、行動を起こしたりすることで現行の制度が変わるなど、「成功体験」を積み上げていくことが大事だと強調する。
林さんによると、若年層の投票率を75%にするためには、前回の総選挙と比べると、新たに530万人以上が投票に行く必要があるという。
「それだけ入ると、選挙結果は大きく変わります。若い人の一票はすごく大事。若い人が選挙に行くだけで、結果は変わると思っています」と参加を呼びかけた。
プロジェクトの公式サイトはこちら。