全国的に猛暑が続き、政府や自治体などによる熱中症や新型コロナウイルス感染症予防の呼びかけもあって、家庭でエアコン(冷房)を使用する時間は例年になく増えています。それに伴って電力の使用量も増え、家計への負担はもちろん環境負荷の高まりも懸念されるところです。
そこで、猛暑の日々における“家計にも環境にも優しい”7つのエアコンの省エネ使用術をまとめてみました。
ピーク時の消費電力の約6割はエアコン
熱中症予防のために昼間の外出を控えたり、新型コロナウイルス感染症予防による在宅勤務が増えたりしたことで、日中も自宅のエアコンを使用する機会が増えています。もともと夏の電力使用量は日中にピークを迎える傾向にあり、経済産業省・資源エネルギー庁は「在宅の場合は13~16時の節電が特に重要」と、注意をうながしています。
夏の14時頃の電気機器の使用量をみると、エアコンが58%と圧倒的な第1位で、冷蔵庫の17%、テレビの5%などをはるかに上回っています。そのため日中の時間帯、特にエアコンに対する節電を実施することが必須であり、大きな省エネ効果をもたらすことになるのです。
省エネ使用術7選
それでは、冷房時のエアコンの上手な使い方“7選”について、具体的に見ていきましょう。省エネ効果の数値、金額などについては、外気の温度が31℃、エアコンの出力が2.2kWとした場合の、資源エネルギー庁による算定を基にしています。
【1】室温は28℃を目安に
冷房設定温度を27℃から28℃に上げると、1日9時間の使用で、年間で電気30.24kWhの省エネになり、電気料金は約670円節約されます。原油に換算すると7.62Lで、CO2削減量は10.6kgになります。
【2】必要な時だけつける
タイマーを上手に使うなどして室温が28℃で冷房を1日1時間短縮すると、年間で電気18.78kWhの省エネになり、電気料金は約1,170円節約されます。原油に換算すると4.73Lで、CO2削減量は6.6kgになります。
ただし、室内でも熱中症にかかる恐れがあるため、猛暑日など少しでも身体への影響が懸念される状況であれば、躊躇(ちゅうちょ)なく冷房を使用してください。過度なエアコンの停止、我慢は禁物です。
【3】フィルターを月に1回か2回清掃
フィルターを清掃したエアコンは、目詰まりしている場合に比べて、年間で電気31.95kWhの省エネになり、電気料金は約700円節約されます。原油に換算すると8.05Lで、CO2削減量は11.2kg。室温を上げたり使用時間を短くしたりすることに比べても、思いのほか高い省エネ効果が期待できます。
具体的な数値としては表れにくい“使用術”のなかにも、省エネ効果の高いものがいくつかあります。
【4】窓の遮熱対策
最近の住宅は断熱化が進んだため、いったん室内に熱が入ると外部に出にくくなっています。特に夏の暑い日は室内に熱を入れないよう、窓に遮熱対策を施して直射日光をさえぎることが大切です。レースのカーテンやすだれなどを用いて日差しをカットしましょう。外出時は昼間でもカーテンを閉めておくと、遮熱効果が高まります。
ブラインドは窓の内側に付けるよりも、外側に付けたほうが3倍近い遮熱効果があるとされます。戸建て住宅などで可能なら初めから遮熱性の高い窓を選び、南側に落葉樹を植えると夏は葉が日光をさえぎり、冬は落葉で日光を通すため、一年を通じて快適に過ごすことができます。
【5】室外機の吹き出し口に物を置かない
風の流れが妨げられて、エアコンの冷房効果が下がってしまいます。
【6】エアコンの風向きは平行に
冷たい空気は上から下に降りてきますので、風向板を下に向けておくと、室内上部に高温の空気が溜まってしまいます。
【7】扇風機を併用
扇風機を使って室内の空気を循環させると体感温度が下がり、より涼しく感じられます。微風調整などの機能を備えた扇風機もあります。
熱中症予防やコロナ禍で在宅時間が長くなりがちなこの時季だからこそ、エアコン使用時の省エネに配慮したうえで、安全・快適な生活を過ごしていきましょう。それがひいては地球環境の保持にも役に立つことになるのです。
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