2020年度の男性の育休取得率が12.65%で過去最高となった。厚生労働省が7月30日に雇用均等基本調査の速報値を発表した。
政府が目標に掲げていた「2020年までに13%」には及ばなかったが、前年より5.17ポイント上がり、初めて1割の壁を越えた。
駒崎氏「飛躍的な増加」
厚労省の「イクメンプロジェクト」で10年以上座長を務める認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事は、「13%にこそ届かなかったが、飛躍的な増加を喜ばしく思っている」コメント。
「来年度から『男性産休』創設と男性育休義務化が始まり、更に加速していくだろう」と期待を寄せた。
2022年春、取得ルールが大きく変化する
女性の取得率が2007年度以降8〜9割で推移し、2020年は81.6%だった一方で、男性の育休取得率は長らく低迷を続けてきた。
政府は2002年に少子化対策として「2012年までに男性の育休取得率10%を達成する」ことを目指していが、目標及ばないまま、「17年までに10%」「20年までに13%」「25年までに30%」ーーと目標を先送りしてきた経緯もあった。
ただ、空気も変わりつつある。
2019年には自民党有志による「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」(後に「育休のあり方検討プロジェクトチーム(PT)」)が発足し、男性育休の取得を促進するための議論が本格化。
2020年には小泉進次郎環境相が長男誕生を機に、現役閣僚として初となる育休を取得した。
そして、今年6月には改正育児・介護休業法が成立した。2022年4月からは、企業による従業員への育休取得の意向確認の声かけが義務化されるなど、育休取得をめぐるルールが大きく変わることになる。
「企業はすぐに動くべき」
法改正への働きかけも続けていた駒崎氏は、「男性の家事育児参加率と出生率は相関関係にある。男性育休が広がることは、人口縮退社会の日本において、非常に重要な役割を担う」と指摘。
「企業も男性育休があたりまえになっていくことを見越して、すぐに動いていくべきだろう」と呼びかけている。