コスタリカの体操選手が、東京オリンピックでの演技の中に片膝をつき、拳を高く突き上げるポーズを取り入れ、人種差別に抗議した。
18歳のルシアナ・アルバラド選手は、コスタリカからオリンピックに出場する初の体操選手だ。
7月25日に行われた体操女子予選に出場したアルバラド選手。演技の最後に、拳を高く突き上げ、片膝をつく振り付けを披露した。
拳を突き上げるポーズはアメリカ代表の黒人選手が1968年メキシコシティ五輪で披露したジェスチャーで、「ブラック・パワー・サリュート」と呼ばれる。黒人差別への抗議の意思が込められており、オリンピック史上、最も有名な政治的ジェスチャーとして知られている。
そして、片膝をつく行為はアメリカプロフットボールリーグ(NFL)の選手らが始めたジェスチャーで、黒人への暴力や差別に抗議する「Black Lives Matter」運動の高まりとともにスポーツ界に広がった。
AP通信は、 アルバラド選手はこの振り付けを披露することで、「Black Lives Matter」に敬意をあらわしたと伝えている。同選手は、オリンピックというグローバルな舞台で平等な権利を訴えることの大切さを強調したい、と語ったという。
「私たちは皆同じです。そして私たちは皆美しく、素晴らしいのです」とコメントしたという。
アスリートが意見表明
オリンピックでは歴史上、アスリートの意見表明は禁じられてきた。しかし国際オリンピック委員会(IOC)は今大会から方針を変え、一定の条件下であれば、メッセージ性を含む行為をすることが認められた。
今大会でも、サッカー女子チームなどが試合前に片膝をつく行為を見せている。
一方で、表彰式や開閉会式、選手村などの場でこうした行為をすることは、引き続き禁じられている。
CBSニュースは、アルバラド選手の行為は演技の中に含まれていたため、処分の対象となる可能性は低いと報じた。
アルバラドはこの演技で12.166点を獲得。決勝進出は叶わなかった。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集・加筆しました。