池袋暴走事故、被告に禁錮7年を求刑。遺族が陳述「重い刑罰を望む」【論告求刑公判】

事故は2019年4月に発生。東京・池袋で母子2人が死亡し、他9人が重軽傷を負った。
高齢男性が運転する乗用車が暴走し、歩行者や自転車をはね親子2人が死亡した交通事故で、現場に残された自転車と事故車両=2019年04月19日、東京都豊島区東池袋
高齢男性が運転する乗用車が暴走し、歩行者や自転車をはね親子2人が死亡した交通事故で、現場に残された自転車と事故車両=2019年04月19日、東京都豊島区東池袋
時事通信社

東京・池袋で2019年4月、車を暴走させて母子2人を死亡させ、他9人に重軽傷を負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告の論告求刑公判が7月15日、東京地裁(下津健司裁判長)であった。

検察側は飯塚被告に禁錮7年を求刑した。

事故で妻子を失った松永拓也さんは意見陳述で、「荒唐無稽な主張を繰り返した被告に、2年間苦しめられ、憤りを覚えています」と心境を吐露。「重い実刑を望みます」と述べた。

検察側は論告で「事故後の検査などで車のアクセルやブレーキ、電気系統に異常が出た痕跡は見られなかった」と指摘。事故当時の車の状態を記録したデータに示された数値を並べ「ブレーキペダルは踏み込まれていない数値で、アクセルペダルは全開に踏み込んだ数値だった」と述べた。

電気系統の不具合でブレーキが利かなかったとする被告側に主張に対して「客観的な事実に反する不合理な弁解で、心から反省していないのは明らかだ」と非難した。

一方弁護側は、「車が加速してから事故までのおよそ10秒は、異常を認識して対応するのに十分。異常な運転と認識したままアクセルを踏み続けるのは不自然だ」と主張し、踏み間違えの可能性を否定した。

事故後の検査で車に電気系統の不具合が確認されなかった点については「再現可能性はないものだ」と主張。「検査で異常が確認できなかったとしても、事故当時に何らかの異常があった可能性を否定するものではない」と述べ、改めて無罪を訴えた。

飯塚被告は最終意見陳述で「被害者の親族の陳述を聞いて心苦しい。しかしアクセルとブレーキを踏み間違えた記憶は全くないと裁判を通じて申し上げてきて、今もそう思っています」と述べた。

時事通信が報じた起訴状の内容によると、飯塚被告は2019年4月19日、ブレーキと間違えてアクセルペダルを踏み続け加速。赤信号を無視して横断歩道に進入し、松永真菜さん(当時31)と娘の莉子ちゃん(同3)をはねて死亡させたほか、9人に重軽傷を負わせたとされる。

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