中国政府、IT企業への締め付け強化 配車アプリ「DiDi(滴滴)」個人情報収集で処分

4月にはEC(電子商取引)最大手・アリババに対し、独占禁止法違反で3050億円の罰金支払いを科していた。

中国政府当局がIT企業に対する締め付けを強めている。中国の配車サービス大手「滴滴出行(ディディ)」は、違法に個人情報を収集していたとして、当局によってダウンロード停止措置とされた。

同社は6月末にアメリカで上場していて、共産党系メディアは「より厳格に管理されるべき」と主張している。

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Florence Lo via Reuters

■アメリカで上場したばかり

「滴滴」は中国の配車アプリ最大手。現在位置の情報などからタクシーなどを呼ぶことができる。

中国当局の発表によると、違法に個人情報を収集した疑いが持たれていて、当局は「インターネット安全法」に基づいて新規のダウンロードを停止させた。「滴滴」によると、3日にはユーザーの新規登録が中止された。すでに使用中のユーザーらには影響はないという。

具体的に、何が違法だったのかは明らかにされていない。

これを受けて、中国共産党機関紙・「人民日報」の姉妹紙「環球時報」は「人々の移動に関する個人情報を最も詳細に把握していたIT企業であることに疑いはない」と指摘。「いかなるIT企業も、国家よりも詳細な中国人の個人情報を保管する存在になってはいけない。自由にデータを活用する権利は、さらに与えてはならない」と警告した。

その上で、「滴滴」が6月30日にアメリカ・ニューヨークで上場したことを挙げ、「株主の1位と2位は外国企業だ。国家のデータ安全に関する管理はより厳格に行われるべきだ」と釘を刺した。現地メディアによると、最大株主はソフトバンク・ビジョン・ファンドで、アメリカのUberが続く。

上場をめぐっては、アメリカに情報が流出するとの噂がSNSなどで広まっていて、「滴滴」の副総裁は「ユーザーの個人情報や道路に関するデータをアメリカに渡すことはない」と自ら否定。書き込んだ人に法的措置を取るとしている。

中国では、政府当局によるIT企業への締め付けが強まっている。4月にはEC(電子商取引)最大手・アリババに対し、独占禁止法違反で3050億円の罰金支払いを科していた。

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