ドイツの自動車メーカー・BMWグループが温暖化対策を本格化させる。ミュンヘンで開かれた5月の株主総会で、2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を2億トン減らす、という目標を明らかにした。同年には世界販売台数の半分がEV(電気自動車)になる見通しだ。
同社によると、2億トンのCO2は100万人都市の20年分の排出量に相当するという。この削減を達成するため、原材料の選定から生産、車の使用、廃車後のリサイクルまで、車のライフサイクル全体を見直す方針だ。
オリバー・ツィプセ会長は、「製造に使用される材料の量を削減し、最初から再利用とリサイクルの計画を立てなければならない。私たちは循環型経済を先導し、先駆者的な役割を果たすつもりだ」と宣言している。
削減目標は3つのステージに分けて設定。「製造工程」で80%、「サプライチェーン」で20%、「車両使用時」で40%のCO2を削減し、全体で33%カットを目指す。
2020年代半ばから販売を予定する「Neue Klasse(ノイエ・クラッセ)」モデルでは、1台あたりの資源消費を大幅に削減する。再利用のスチールやプラスチック、アルミニウムなど2次材料の割合を大きくするという。
大量のエネルギーを消費するバッテリーの製造過程では、「Neue Klasse」に導入する次世代技術によって、温室効果ガス排出量を従来モデルの半分未満にする考えだ。
一方、EVについては、2021年末までに5車種で導入する予定。2025年までは年平均50%の割合でEVの販売台数を増やし、2030年には世界販売台数の5割がEVになる見込み。今後10年で累計1000万台のEVを販売する計画だ。
BMWでは、こうした環境対策に取り組む一方、企業としての成長をどう両立させていくのか。
BMWジャパンの佐藤毅・広報部長は「サステナビリティ(持続可能性)を中心に置きながら、プレミアム・ブランドを再定義したい。サステナブルなことをやることによってブランド価値が上がるようになれば、ビジネスでも成功できる。その両輪を見ていきたい」と考える。
40周年記念試乗会を開催
BMWジャパンは創立40周年を記念し、7月3日(土)から7月25日(日)まで、EVなどの無料試乗会を開催する。試乗距離1キロにつき100円を、同社が環境保護団体「more trees」(代表・坂本龍一氏)に寄付する。会場は東京都江東区青海の「BMW GROUP Tokyo Bay」。詳細は以下のサイトへ。
【BMW ジャパン40周年記念イベント専用ウェブサイト】