新型コロナの影響で2年ぶりの開幕となったテニスのウィンブルドン選手権。
2日目の6月29日、男子シングルスで歴代最多8回の優勝を誇るロジャー・フェデラー(スイス)が1回戦を突破し、試合後のコートで勝者インタビューに臨んだ。
司会者から、「ウィンブルドン選手権のセンターコートに戻って来ましたが、『会えないほどに思いが募る』(absence makes the heart grow fonder)というのは本当でしょうか」と尋ねられたフェデラー。
英語の言い回しを知らなかったようで、「すみません、そのことわざの意味を知らないんです。英語はあまり上手じゃないんで」とはにかみながらユーモアたっぷりに話すと、会場が沸いた。
司会者が「2年ぶりにセンターコートに戻ってきて、どんな気持ちですか」と言い換えると「イエス、そうこなくちゃ!」と笑顔で応じた。「選手もファンも、大会関係者もとてもハッピーです。ツアーも再開され、特に大勢の観客のいるウィンブルドン選手権でプレーする機会に恵まれました。長くつらかった去年を思い出すと、こんなに光栄でうれしいことはありません」と話すと、観客からひときわ温かい拍手と歓声が沸いた。
このやりとりを紹介したウィンブルドン選手権の公式Twitterには1万以上の「いいね」がつき、「ロジャー、あなたの英語は完璧だし、全部のことわざを知る必要なんてない。とても謙虚だ」「なんて紳士的なんだろう。こんな風に笑わせてくれるのは彼だけ」とたたえ、ウィンブルドンでのツアー復帰を歓迎する声が上がった。
フェデラーはこの日、第4セットで対戦相手のアドリアン・マナリノ(フランス)が足を滑らせて転倒・負傷し、途中棄権を申し入れたため、2回戦進出を決めた。
フェデラー自身、2020年に右ひざを手術しており、その状態を考慮して2021年6月に全仏オープンの4回戦を棄権していた。
スイス国籍のフェデラーは39歳。グランドスラム(4大大会)で20回の優勝回数を誇り、英語のほかにフランス語やドイツ語も流暢に操ることで知られている。ウィンブルドン選手権では2017年以来、4年ぶりとなる通算9回目の優勝を目指す。