化粧品大手「DHC」のホームページに、吉田嘉明会長名義で在日コリアンへの差別的な文章が掲載されていた問題。同社の取引先企業であるコンビニ各社に対し、DHC商品の撤去や同社との取引中止を求めるオンライン署名が6月24日、提出された。
(※)5月31日夜の時点で、問題の文章がDHC社の公式サイト上から削除されていたことがわかっている。一方で、同社は文章に関する見解についてコメントはしていない。
コンビニ各社に対応求める署名、5万人以上が賛同
署名を呼びかけたのは、フリーライターの清義明さんだ。
DHC社の文章について、「人権侵害として言論の自由の許容範囲を超える」として、コンビニエンスストア各社に対してDHC社の商品取り扱いの中止などを求める署名をスタートした。清さんは取引先企業に対応を求める理由について、「あらゆる行政や企業等は、責任をもって対処する必要があります」とつづっている。
署名には開始から1カ月あまりで5万2353人の賛同が集まった。
清さんは6月24日、署名責任者として、コンビニ大手3社のセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート本社を訪問。また、ミニストップのグループであるイオングループにも署名が提出された。
各社の担当者に署名を渡した清さんは、「色んな人が、色んなところで声を上げていく必要がある。今後どういった効果があるかということは注視していきたい」とコメントした。
各社の受け止めは?
セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、イオングループの4社に、署名への受け止めを聞いた。
セブン-イレブンは、「人種・民族・国籍の自由を理由とする不当な差別を助長するようなことはあってはならない」とした上で、この件については「個別具体的な諸事情等をふまえて判断してまいります」とコメント。
ローソンは「取引先に対し、弊社の人権に関する考え方をご理解頂けるよう対話を続けていく」とし、ファミリーマートは「DHC社に対しても、ファミリーマート人権方針について説明し、理解と支持をいただけるよう働きかけております」と回答した。
イオンは、「署名はお預かりをしております」とした上で、問題についての見解は6月2日に発表した声明の通りであると説明した。声明では、DHC社に考え方を確認したことや、イオンの人権基本方針にDHC社が同意したことなどをふまえ、取引を継続すると判断したとつづられている。
署名や問題への受け止めについて、4社の見解は以下の通り。
セブン-イレブン「不当な差別を助長するようなことはあってはならない」
当社グループとしていたしましては、人種・民族・国籍の自由を理由とする不当な差別を助長するようなことはあってはならないと考えており、セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針においても、人権の尊重を主眼に持続可能な社会の実現に向けてお取引先様のご協力をお願いしている次第です。本件につきましては、個別具体的な諸事情等をふまえて判断してまいります。
ローソン「対話を続けていく」
弊社は、人権を尊重すべく、「ローソングループ人権方針」を定め、事業活動に関わる取引先を含むあらゆるステークホルダーの皆様に対して、この方針への賛同を期待し、ステークホルダーの皆様との対話を通じて、人権尊重への取組みを進めております。
本件についても、取引先に対し、弊社の人権に関する考え方をご理解頂けるよう対話を続けていく所存でございます。
ファミリーマート「(DHC社に)人権方針の理解を働きかけている」
問題への受け止めについて:
弊社では、ファミリーマート人権方針を策定し、すべての役員・従業員に対して、教育啓発に取り組むとともに、ビジネスパートナーおよびその関係者の皆様に対しても、本方針を共有し、常に理解と支持をいただくことをお伝えし、共同して人権尊重を推進すべく努めております。
署名について:
署名について、受け取りをしました。また、DHC社に対しても、ファミリーマート人権方針について説明し、理解と支持をいただけるよう働きかけております。今回の署名内容も含め、様々な意見を参考にし、引き続き弊社内はもとより全ての関係者の方へ人権方針の理解と支持をいただけるよう努めてまいります。
イオン
「署名はお預かりをしております」と回答。
問題についての見解は、6月2日に発表した声明の通りであると説明した。