民放AMラジオ44局、2028年秋めどに“FM局”目指す
「ワイドFM(FM補完放送)対応端末普及を目指す連絡会」幹事局が15日、リモートで記者会見を行い、日本全国の民放AMラジオ47局のうち、44局が2028年秋までにFM局となることを目指すと発表した。
2019年3月には、日本民間放送連盟が「FM補完中継局制度の見直し」として、「遅くとも2028年の再免許時までに、AM放送事業者の経営判断によって、AM放送からFM放送への転換や両放送の併用を可能となるよう制度を整備する」「23年の再免許時をめどに、一部のエリアで実証実験として長期間にわたりAM放送を停波できるよう、総務省は必要な制度的措置を行う」とした、要望を総務省「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」に提出。
同年8月に同分科会で『FM補完中継局制度の見直し(FM転換実現)』への提言として「28年の再免許以降の全国的なFM転換(AM併用を含む)」「23年の再免許時をめどに、一部地域で実証実験としてのAM放送の長期間の停波」が可能となるように、現行制度を見直すべきとなり、20年10月には、総務省が『民間ラジオ放送事業者のAM放送のFM放送への転換等に関する「実証実験」の考え方』を公表し、28年の全国的なFM転換に向けての新たなステージへと突入した。
こうした流れを受けて、今回の発表となったが、28年にFM局となっても、直ちにAM停波となるわけではなく、一部の局はAM波を補完的に活用し続ける(AM併用)。「AM親局」「FM補完局」としている場合、28年秋までには「従来のFM補完中継局を親局にしながら、従来のAM放送を停波」「従来のFM補完中継局を親局にしながら、従来のAM放送を補完的に活用(AM併用)」の2パターンが想定される。
この日の会見には、在京3社(TBSラジオ・文化放送・ニッポン放送)から、入江清彦TBSラジオ取締役会長、碧海純TBSラジオ取締役、片寄好之文化放送専務取締役、森谷和郎ニッポン放送取締役が出席。入江会長は、今回の背景に、老朽化に伴い送信所の更新が難しい上に、アンテナの高さが100メートル近くあり、大きな敷地が必要となることから、AM放送が将来にわたって継続できない点、AM局がFMでもサイマル放送を行っており、二重設備のコストが大きな負担となっている点を挙げた。
在京3社は、共同で「早ければ、2028年秋の再免許時でのAM停波実現を目指し、3社協力して、さまざまな課題解決に努めます」との声明を出した。そのほかの局の対応について、入江会長は「完全にできるかどうかは、それぞれの局の経営判断にも関わることですので、ここで簡単にお答えできる内容ではないと思います。FMを中心において、FMネットワーク局になると、ご理解いただけたら」と語った。
■2028年秋までにFM局となることを目指す民放AMラジオ44局
青森放送、IBC岩手放送、東北放送、山形放送、ラジオ福島、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、栃木放送、茨城放送、アール・エフ・ラジオ日本、新潟放送、信越放送、山梨放送、静岡放送、北日本放送、北陸放送、福井放送、CBCラジオ、東海ラジオ放送、岐阜放送、KBS京都、MBSラジオ、朝日放送ラジオ、ラジオ大阪、ラジオ関西、和歌山放送、山陰放送、RSK山陽放送、中国放送、山口放送、四国放送、西日本放送、南海放送、高知放送、RKB毎日放送、九州朝日放送、長崎放送、熊本放送、大分放送、宮崎放送、南日本放送、琉球放送、ラジオ沖縄(北海道地区、秋田地区を除く44局)
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