政治分野のジェンダーギャップ解消をめざし、「候補者男女均等法」の改正法案が6月10日の衆院本会議で可決・成立した。国や自治体に対し、議員や候補者へのセクハラ・マタハラ対策が義務付けられる。
一時は日程的に扱うのが難しいという判断で先送りされる予定だったが、参院で先議することで一転、今国会で成立することになった。
改正を働きかけた議連の事務局長、矢田稚子参院議員は「今年は婦人参政権75周年。一歩でも前に、という思いだ」と語る。
セクハラ・マタハラ対策、国や地方に義務
改正法では、議員や候補者に対するセクハラやマタハラについて、研修や相談体制の整備を国や自治体に義務付けている。
女性の議員や候補者のハラスメント被害は、女性が議員活動や選挙活動を続けにくい要因の一つになっている。相手が有権者や支持者の場合は、女性側も被害を公表しづらく、多くは泣き寝入りを強いられていた。
また改正法では、政党に対しても、セクハラ・マタハラ対策のほか、女性参画の目標設定、候補者の選定方法の改善や人材育成など、自主的な取り組みを求めている。
政党に数値目標の義務付けは盛り込めず
一方で、女性議員を増やすという点では、依然として実効力に課題も残る。
2018年に制定された同法は、男女の候補者の数ができるかぎり均等になるよう政党に目標設定などの取り組みを求めている。
日本版パリテ法と称されるなど画期的な法律だったが、努力義務にとどまるため、実際には「均等」には遠く、目標設定すらしていない政党もあるなど、実効力の低さが課題だった。
法改正を働きかけていた超党派による議連の中では、改正で各政党に対して候補者数の目標設定を義務付けることなども検討されていたが、今回の法案には盛り込めなかった。
秋までに衆院選を控え、数値目標設定の義務付けに及び腰な政党もあったためという。
ハフポスト日本版が3月に行ったアンケートでは、衆院選で女性候補の擁立目標を「設定している」と答えたのは立憲民主党や国民民主党など4党で、自民党は「目標は設定しない」と回答していた。
最新のジェンダーギャップ指数で、日本は120位。足を引っ張っているのは政治分野だ。
上智大学の三浦まり教授は、「メディアや有権者は、各政党の候補者の男女比にも注目してほしい」と語っている。