ナイキ、日本の男女格差に切り込む動画に反響。生まれた「女の子」に待ち受けるシーンで現状を訴える

「おそらく女の子ですよ」。医師からそう告げられた夫婦は、最初は喜ぶものの...。
「New Girl | Play New | Nike」より
「New Girl | Play New | Nike」より
NIKE JAPANのYouTubeチャンネル

「おそらく女の子ですよ」。医師からそう告げられた夫婦は、最初は喜ぶものの...。

スポーツ用品大手のナイキが、日本の男女格差をテーマにした動画をYouTubeやTwitterに公開し、話題になっている。

どんな動画なのか

動画のタイトルは「New Girl | Play New」。赤ちゃんを授かった夫婦とみられる1組のカップルに焦点が当てられている。

動画は、エコー検査を受けた2人が、医師から「おそらく女の子ですよ」と告げられるシーンから始まる。

2人は喜びの表情を浮かべるものの、すぐさま顔が曇りだす。そして、2人は様々な場面を想像する。

会議室でスーツ姿の男性たちに囲まれ、萎縮する女性の姿。「打ち合わせには入れたけど、発言させてもらえなくて」というセリフもある。

後ろを振り返り、警戒しながら夜道を歩く女性の姿。

親戚が性別は女の子と聞き、不満げにする様子もあった。

「New Girl | Play New | Nike」より
「New Girl | Play New | Nike」より
NIKE JAPANのYouTubeチャンネル

「女の子だってなんでもできるんだから」

動画は次に、母親が出産前に友人たちからお祝いを受けるシーンへと移る。

そこでは、ケーキに飾り付けられたフィギュアが「日本の男女には、43.7%の所得格差があるんだって」と突然喋り出し、友人が「本当だよね、女の子って大変だよね」と投げかける。

母親はそれを聞いて、「いい加減にしてよ、女の子だってなんでもできるんだから」と怒り出す。

「New Girl | Play New | Nike」より
「New Girl | Play New | Nike」より
NIKE JAPANのYouTubeチャンネル

そして母親は出産を迎えるが、次の場面で映し出されるのは、男子ピッチャーが投げた球を勢いよく打つ女子バッターの姿だ。

さらに、女子相撲選手、女子ラグビー選手らが登場し、「新総理大臣」として、女性が「あなたが成し遂げたら、みんなが後に続く」と演説するシーンが映し出される。

最後は、無事に赤ちゃんを出産した女性が、赤ちゃんに向かって「ねえ、あなたは何になりたい?」と声をかける場面で幕を閉じる。

「New Girl | Play New | Nike」より
「New Girl | Play New | Nike」より
NIKE JAPANのYouTubeチャンネル
「New Girl | Play New | Nike」より
「New Girl | Play New | Nike」より
NIKE JAPANのYouTubeチャンネル

「今はもう、何にでもなれる時代」

ナイキジャパンは動画について、コンセプトを以下のようにつづっている

今までは「女性らしく」なろうとしてた。

だけど、今はもう、何にでもなれる時代。

「あなたは何になりたい?」

背景については、「2021年のジェンダーギャップランキングで、日本は120位。未だに経済や政治への参加という面において、男女の間には大きな差があります」と説明。

動画には、 プロのサッカー選手の大滝麻未さんや、相撲の名門高校で創部以来初の女子部員として取り組む葛西里澄夢さん、女性野球チームを率いる島野愛友利さん、フィギュアスケーターの本田真凜さんなど、実際にスポーツ界で活躍する女性たちが出演しているという。

また「新しい未来のイメージ」として、社会課題について発信している団体「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんも動画に出演を果たした。

能條さんは、森喜朗・東京オリパラ組織委前会長の女性蔑視発言への抗議署名を始めた一人で、2月には集まった15万筆以上の署名を組織委に提出した

動画にさまざまな反響

政治やスポーツ、経済など、さまざまな場面でジェンダー格差が問題となっている日本。そんな現状に切り込みながらも、「女の子は何にでもなれる」と鼓舞するようなメッセージが込められているようだ。

Twitter上では、動画に対して多くの意見が飛び交っている。

「女性であるがゆえに悔しい思いをしている人には響くCM」「勇気付けられる動画」と共感するコメントもあれば、「ここまではっきり表現されるとなんか傷つく」と、現状を憂うコメントも。一方で、性別が女の子だとわかった後の周りの反応について、「前時代過ぎるのでは」と疑問を呈する声もあった。

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