LiLiCoが「芸能人は同じ衣装を着ない」ルールをやめた理由

好評連載 第20回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
Yuko Kawashima

スタイリストやヘアメイクをつけず、自分で衣装やメイクを担当しているタレントのLiLiCoさん。メイクアップコンテストにも出場し、優勝した経験もあります。

世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは「ファッション&メイク」です。

「芸能人は同じ衣装を着ない」が常識とされる業界で、地球に優しいサステナブルなファッションとメイクを追求するLiLiCoさんが、自分らしいスタイルを語ります。

スタイリストやヘアメイクをつけない理由

Yuko Kawashima

LiLiCoといえば、日焼けした肌にボリュームあるロングヘア、赤いリップと派手な服――。みなさんが思い浮かべる通り、ファッションやメイクは“LiLiCoらしさ”の大きな一要素です。

私が衣装やメイクを自分で決めているのは、その日の気分や出演する番組に合わせたLiLiCoを演出したいから。

実は、同じ情報番組でも『ノンストップ!』(フジテレビ系)と『王様のブランチ』(TBS系)で着ている服は全然違うテイストなんです。

『ノンストップ!』は、朝の家事を終えた主婦のみなさんがほっと一息しながら観る番組。だから、色もデザインも落ち着いた衣装を選びます。アクセントをつけるとしても、大きなアクセサリーをつけるぐらいです。

一方の『王様のブランチ』は、休日の番組で若い視聴者が多いため、派手めな衣装を選びます。私の話ではなく映画の話をするコーナーを担当しているので、洋服で自分の存在をアピールするという意味もあります。ほぼ上半身しか映らない番組だから、特にトップスの印象に気を配ります。

Yuko Kawashima

テレビ番組に出るときは、洋服の価格にもこだわります。「着てみたいな」と思った人が真似しやすいように、プチプラや高価すぎないブランドを組み合わせて、トータルで2万5000円ぐらいまでに収めるようにしています。

聞いた話だと、俳優のシャロン・ストーンも、監督に会いに行くときは、その人に合わせたり、役柄に合わせたファッションにしたりしてアレンジするそうですよ。

ファッションには心模様も反映されますよね。落ち込んでいたり、疲れていたりすると、パワフルなものを着たくなります。

時期によっても好みは変わります。今だったら、『ミッドサマー』(2019/アメリカ)の衣装みたいな白地に青い刺繍をしたワンピースが好き。あたたかくなってきて、夏に帰省していたスウェーデンが恋しくなっているんだと思います。

芸能人でも、同じ衣装を着たっていい

Yuko Kawashima

テレビに出る芸能人は、同じ衣装を2度着ないのをご存じですか? 

私も過去はそうでした。でも5年ほど前のある日、ふと思ったんです。

「テレビでは毎回、新しい服を着なきゃいけないって、誰が決めたんだ?」

会社に行く人たちなら、仕事のときにお気に入りの服を何回も着ますよね。だったら、私たちだって同じ服を着たっていいじゃない、と。

あるとき、試しにクローゼットを整理してみたら、似たような白いシャツが25枚ぐらい出てきて…。一度しか着ていないのに引き出しの中で劣化して黄ばんでいるものもあって、すごくもったいないことをしたと反省したんです。

Yuko Kawashima

それからは、衣装に使った洋服は洗濯して、また使って…のくりかえしです。

同じ服でもアクセサリーやメイクで印象を変えることはできるし、何より衣装用だからといってどんどん服を買うのは地球に優しくありません。

洋服を買う前にじっくり考えることも大切ですよね。「流行ってるから」「いつか着るから」「ただカワイイから」と買った服は、だいたい着ないんです。私も若い頃、たくさん失敗しました。

今、私が服を買う基準は、手持ちの服と合わせられるのか、そして愛着を持って着続けられるか。展示会などですすめられても、着そうにないものは「たぶん着ないから」と正直に言って断るようにしています。

「地球に優しく」もオシャレの一環

Yuko Kawashima

洋服やコスメを選ぶときは、デザインや品質はもちろん、環境に配慮されているかも重要なポイントです。

スウェーデンの「CAIA」は、愛用しているコスメブランド。そもそも化粧品の品質管理基準が厳しいスウェーデンでは、環境保全やアレルギーなどに配慮した成分を使うことが求められます。メーカー側もまた、パッケージのリサイクル率などに意識的です。

スウェーデンのファッションメーカー「H&M」も、サステナブルな取り組みで知られています。回収した服やペットボトルだけでなく、最近はパイナップルやオレンジの不要な部分、そして藻までも生地の材料になるそう。リサイクル技術も向上して、布や革のほかスパンコールまで作れると聞きます。

Yuko Kawashima

日本でも、サステナビリティへの関心が高まっていますよね。

2017年、私がモデルになり加納典明さんが撮影した写真集『絶夜』のプレス発表会に、ペットボトルをリサイクルしたシフォン生地のドレスで出たんです。

当時は、そのドレスの話をしてもどこのメディアも取り上げませんでした。でも、今だったら違うでしょう。

せっかくなら、サステナブルな商品は世界共通のタグがあればいいですよね。説明文も、「二酸化炭素の排出量が…」じゃなくて、「パイナップルの葉っぱから作った素材です」とわかりやすくして。

環境への配慮は、自分のできる範囲で、無理せず取り組むのが継続の秘訣。だから、オシャレの一環としてサステナブルな商品を手に取る人が増えているのはいいことだと思います。

自分らしいスタイルを見つける方法

Yuko Kawashima

あくまでファッションで大切なのは、自分のスタイルがあること。顔やスタイルのよさではないと、私は考えています。

日本人は、自分のスタイルを持っている人が少ない気がします。制服の文化があって、ティーンエイジャーの時期に、日常生活でファッションセンスを磨く機会がないからじゃないでしょうか。

でも、小さな姪っ子を見ていると、人は2歳ぐらいから自分の着たい服があることがわかります。日本人は、自分らしさを育てにくい環境にあると思うんです。

人はそれぞれ体型も違えば、好みも年齢も、その日の気分も違います。だから、一人ひとりが自分の基準で服やメイクを選んでいいし、その日の自分を楽しんでいいんです。

Yuko Kawashima

じゃあ、どうやって自分のスタイルを見つけるか? 

まずは、「流行っているから着る」をやめましょう。たとえ流行していても、自分の体型に合わない服、顔に合わない色はあります。

何が似合うのかわからない人は、毎日、スマホで全身を撮影する習慣をつけてみて。人からの褒め言葉もヒントになります。「その色、似合うね!」と服装を褒められたら、聞き逃さず自分のスタイルに取り入れましょう。

私が衣装でパンツやジャケットを着るようになったのは、男友達が「テレビのLiLiCoより普段のLiLiCoの方がかっこいいよ」と褒めてくれたからです。変えてみたら、確かに評判がいいんですよ。

みんな、もっと冒険してもいいと思います。

一度、ドキュメンタリー映画『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』(2015/アメリカ)を観てみてください! それぞれに自分らしいスタイルを楽しんでいる60代以上のニューヨークマダムたちが、すごくカッコイイですよ。

Yuko Kawashima

(取材・文:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ 編集:笹川かおり

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