「園内のにおいを何とかしてほしい」
鹿児島県鹿児島市の平川動物公園に寄せられた意見に対する園長の回答が、「素敵だ」と反響が広がっている。
意見を受け取った上で、動物同士がにおいでコミュニケーションをとっているさまざまな例を紹介し、『嗅ぐ楽しみ方』を提案する内容だったからだ。
園長は5月10日の園のブログで、動物のにおいへの対策を求める声が「意見箱」に寄せられていることを紹介。
まず「不潔な環境で飼育していることによって臭うのであれば、それは良くないことです」と断った上で、「清潔にしていても残るある程度の体臭などは、やむを得ないものです」と理解を求めた。
園長は続けて、においで情報を得たり伝えたりする生き物も数多くいるとして、さまざまな動物の例を挙げた。
イヌが電柱などに尿をする“マーキング”に触れ「匂いによって性別、年齢、繁殖適期であるかどうか、などの情報を伝え合っているのです。いわば匂いはプロフィールなのです」と説明。
サイが嗅覚に優れていることや、レッサーパンダはお尻を擦りつけるようにしてマーキングすること、同じ草食動物でも、キリンとシマウマでは違ったにおいがし、同じ類人猿でも、オランウータンとチンパンジーではにおいが異なることなども紹介した。
今はテレビや動画配信サイトで、動物の姿を気軽に見ることができる。平川動物公園も、ライブカメラやSNSを通じて、園の動物の姿を広く発信している。
一方、園長は「見ただけでは伝わらないものもあります。それは匂いです」と強調し、次のように呼びかけた。
「実物を目の前にして嗅覚でも動物たちを感じられるのは、動物園ならでは、ではないでしょうか。匂いも含めて動物たちのことを知ってもらいたいと考えています」
動物園の魅力について「見るだけではなく、『嗅ぐ』楽しみ方もあります。臭いがするからイヤ、などと言わず、感覚をフルに使い、動物たちの立場に立って理解してもらえたら嬉しいです」と理解を求めた。
回答は、においが苦手だという人を突き放さず、どうやったら楽しめるかを提案する内容だった。
ネット上では「愛にあふれる、すばらしい回答」「頷きながら読みました」「『におい』と言うより『香り』として楽しんでます」などと反響が広がった。
園長は5月13日、ハフポスト日本版の取材に「匂いは動物にとって情報伝達に不可欠なもので、そこから私たちが動物について色々と知ることができます。動物の立場にも立ってもらえたら嬉しい」と話している。