ニューヨーク市に観光で訪れた人にも無料でワクチンが接種できるようになった。デブラシオ市長が5月6日(現地時間)に発表した。
早速接種を受けて日本に帰国した女性に話を聞いた。
東京都在住の40代の女性は5月7日に、ニューヨーク市ブルックリンの薬局Omm Pharmacyで接種を受けた。「書類に記入してから接種まで5分程度。あっという間でした」と話す。
女性は、ニューヨークに観光で訪れた。ニューヨーク市に住むアメリカ人の友人が近くのドラッグストアに電話を3、4件かけて、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製のワクチンがある薬局を見つけた。
観光客に提供されるワクチンは、接種が1回ですむジョンソン・エンド・ジョンソン社製だ。
薬局に着くと、受付で「観光で入国し、接種をしたい」と伝えた。
受付で、名前と生年月日、住所などを書き入れる書類に記入し、パスポートを見せた。
すぐに椅子に案内され、「左に打ちたいか、右に打ちたいか」と聞かれて、左腕に薬剤師が打ったという。
帰国直後から、東京の家で2週間の隔離生活を送っている。
ワクチンツーリズム
日本では、高齢者のワクチン優先接種が4月から始まっているが、接種した人はなお全人口の2%にすぎない。一方で、ニューヨーク州では、ワクチン接種する人が頭打ちになり、ワクチン接種した人に地下鉄など鉄道が7日間無料となる乗車券の配布などで接種向上政策をとることが5月10日発表された。
5月6日に観光客に無料接種をすることを発表したデブラシオ・ニューヨーク市長は、市外から訪れる観光客にも新型コロナウイルスのワクチンを接種するのは、「観光振興策」の一環だと説明する。
タイムズスクエアなど中心部をワクチン接種会場にしたり、ワクチンバスを随所に出したりして積極的に対応するという。
ワクチンを打つことを目的にした観光客が増えていく「ワクチンツーリズム」を睨む。
アメリカでは、ニューヨーク市だけではなく、アラバマ、アリゾナ、カリフォルニア、テキサス州など少なくとも22州がワクチンを観光客が接種できる。NBCによると、既に南米の富裕層などはアメリカに打ちに来てるという。
続々と「ワクチン後の世界」に
現在、ニューヨークでワクチンを接種すれば、接種後、ある一定の時間が経つとネット上でワクチンのロット番号を登録し、「エクシオールパス」というニューヨーク州版のワクチンパスポートがもらえる。
CDC(アメリカ疾病対策予防センター)は、ワクチン接種を終えた人は国内旅行で出発前後の検査は必要なく、到着してからの自己隔離も解除している。
また、EUではEUが承認した国のワクチン接種証明書があれば、6月から域内の入出を自由にできると表明している。
世界は、着実にワクチン後の世界に移りつつある。
日本では、菅首相が「9月までにすべての対象者に確実に供給できるめどが立った」と供給の目処は言及しているものの、接種がいつできるかは不透明な状況だ。【ハフポスト日本版・井上未雪】