東京オリンピック・パラリンピックの中止を求めるデモが5月10日、Twitter上で展開され広がりを見せている。
立憲民主党の枝野幸男代表が同日開かれた衆議院予算委員会で、五輪開催について「不可能と言ってもいい」と菅義偉首相に質問したことなども影響したとみられ、ハッシュタグ「#東京五輪は中止します」が日本のトレンドとなった。
Twitterに寄せられた声「感染者の治療よりも五輪が大切と言えるのか」
ハッシュタグを用いたTwitter上でのデモは10日午前に始まったもので、午後2時半の時点で、1万5000件以上のツイートされている。
その多くが五輪開催に反対する意見によるもので、「今は五輪よりも命を守ることを優先するべきじゃないでしょうか」「感染者の治療よりも五輪が大切と言えるのでしょうか」などの声があがっている。
国会ではどんなやりとりがあったか
10日に開かれた衆議院予算委員会では、立憲民主党の枝野氏が五輪開催の判断について、次のように質問した。
今の日本の感染状況とここから3・4カ月の想定の中で、国民の命と健康を守ることとオリンピック・パラリンピックの開催を両立させることは不可能と言ってもいいんじゃないかと残念ながら言わざるを得ません。
もう残り時間を考えると、判断の先送りはできないタイミングです。具体的な対策を示してくださいよ。ただ、「安心・安全の五輪開催のために徹底します」ということを繰り返して1年間、今の感染状況なんですから。なんの説得力もありません。
どうしても(五輪を)やると言うんだったら、せめて(具体的な対応策を)示してください。いかがでしょうか。
これに対し菅首相は以下のように答弁し、あくまでも対策を講じての開催にこだわる姿勢を見せた。
具体的な方法として、例えば、(アスリート)の行動範囲を原則として宿泊施設および競技会場などに限定をする。その上で、一般の日本人との接触を厳に回避するため、それぞれの場所での動線分離を徹底させる。こうした措置を講じていきたいという風に思っています。
アスリートにも辞退求める声。ネット上では署名活動も広がる
東京五輪をめぐっては、競泳女子のメドレーリレーの代表に内定している池江璃花子選手が5月7日、自身のSNSに「(出場を)辞退してほしい」「反対に声をあげてほしい」などのコメントが寄せられていることを明かした。
こうした声について、「このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく、当然の事だと思っています」と理解を示した上で、「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません。ただ今やるべき事を全うし、応援していただいてる方達の期待に応えたい一心で日々の練習をしています」とコメント。
そんな中、弁護士で元日弁連会長の宇都宮健児氏は5月5日、キャンペーンサイト「Change.org」で開催中止を求める署名を呼びかけた。
この署名活動は大きな広がりを見せ、10日午後3時時点で31万人以上が賛同している。