憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案が5月6日、衆議院の憲法審査会で、自民・公明両党や立憲民主党などの賛成多数で可決されました。今国会の会期内で成立の見通しです。
ただ、ネット上では「#国民投票法改正案採決に反対します」などの声が相次いでいます。
改正案の内容は?何が議論になっているのでしょうか?ポイントをまとめました。
改正公選法の内容を適用
国民投票法改正案は、2016年に改正された公職選挙法の内容を、憲法改正の手続きに関する国民投票にも適用する、というものです。
具体的には、
・駅や商業施設などへの共通投票所の設置
・期日前投票の理由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加
・投票所に同伴できる子供の範囲を「幼児」から「児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大
などの7項目を盛り込んでいます。
何が問題?
問題となっているのは、現行の国民投票法の、投票日前の「国民投票運動」に関する規定です。
憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をするよう、又はしないよう勧誘することを「国民投票運動」といいます。政党などは、一定のルールのもとに「国民投票運動」を行うことができます。
例えば、投票期日14日前からは、国民投票広報協議会が行う広報のための放送を除き、テレビやラジオの広告放送は制限されます。
この規定だと、14日前より前の期間では規制がないままとなっています。与党が提案する国民投票法改正案では、こうしたテレビやラジオのCM規制のほか、インターネット広告の規制も検討されていません。
主要野党はこれまで、この点を問題視し「政党の資金力によってCM量に違いが出る」と指摘していました。
「お金があれば広告手段をフル活用し、高い視聴率が見込める枠で宣伝されてしまう。これでは国民投票の結果が左右されてしまう恐れがある。現行の国民投票法では、意見広告として堂々と事前運動が可能で、公正な国民投票とは言えない」などと主張していました。
立憲が賛成に
改正案に対して野党が慎重姿勢を崩さず、8国会にわたって継続審議となっていました。
ですが、立憲民主党が与党側に、「改正案の施行後3年を目処に、必要な法制上の措置を講ずる」との付則を加えた修正案を示し、これを与党が受け入れたことで、立憲は賛成に回りました。
改正案は近く衆議院本会議で可決され、参議院に送られます。2018年の提出から約3年を経て、今国会の会期内に成立する見通しとなりました。
SNSでは「#国民投票法改正案採決に反対します」のハッシュタグが拡散するなど、反対する声が上がっています。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、「コロナ対策を優先するべき」「コロナ禍の今、なぜ改憲に向けた動きを急ぐのか」といった声も相次いでいます。