ベルギーの農家の男性が、国境石をフランス側にうっかり動かしてしまうという珍事が起きました。CNNによるとベルギー領が約1000平方メートル拡大した格好になります。
BBCによると、農家の男性はトラクターを動かすためのスペースを確保するために、石を2.29メートルほど動かしたといいますが、結果、ベルギーは101年前に定められた領土が、少し拡大する形になってしまいました。
エルクリンヌ村の村長、ダヴィド・ラヴォー氏はフランスのテレビ番組に対し、「彼はベルギーを大きくして、フランスを小さくしてしまった。困った話です」とコメント。「自分の村が大きくなったので私は喜びましたけれど、(フランス側の)ブージニー・シュル・ロック村の村長は、そうではなかったようです」
BBCによると、ベルギーとフランスの間の国境は全長620キロ。両国の国境は、フランス皇帝ナポレオン1世が、1815年のワーテルローの戦いで敗れた後、1820年に調印されたコルトレイク条約で決定しました。
発見したのはフランスのあるグループで、4月に地図と国境石の場所を照らし合わせている時に、国境が移動していることに気づきました。
発見した1人の男性は、ニューヨーク・タイムズに対し、「ずれた国境石を見た時に、何かがおかしいとすぐに疑った」と答えています。
「通常であれば、すべての国境石は正確に置かれているものですが、これは高台に立てられており、奇妙だと思いました」
地図を確認すると、国境石は本来の場所よりもフランス側にありました。
「その場所は人里離れており、通る人もほとんどいません。もしかしたら、国境石が移動したことが発見されることはなかったかもしれません」
エルクリンヌ村のラヴォー村長は、国境石を移動させた農民に、元の場所に戻すよう求める公式な文書を送る予定です。
もしそれに従わなかった場合、農民は刑事責任を問われる可能性もあります。さらに場合によっては、ベルギー外務省が動き、1930年以来初めてとなる紛争を解決するための委員会が設立されることもあり得るといいます。
村長は穏便な問題解決を望んでいるようで、BBCに対し、「快く応じていただけたら、何の問題もありません。私たちはこの問題を友好的に解決できるはずです」と話しています。
また、フランス側のブージニー・シュル・ロック村のオレリー・ウェロネク氏も、地元紙に対し「私たちは、国境戦争を回避することができるでしょう」と語りました。
この記事はハフポストUS版を翻訳・編集しました。