「世界最悪の気候犯罪者の1人に出番を与えない。これは、反牛肉ではなく、むしろ親地球です」
アメリカの人気レシピサイト「Epicurious」は、気候危機への懸念から牛肉を使った新しいレシピを公開しないとするステートメントを発表しました。
牛肉料理よりも持続可能な食事を促すため、牛肉を使った新規レシピの掲載や記事、ソーシャルメディアの投稿はなくなるそうです。2019年以前に公開されたレシピはサイト上に残ります。
牛は消化の過程で温室効果の強いメタンガスを排出することで知られています。
気候危機対策の観点から牛肉を食すことを避ける動きは海外で広がりつつあり、日本も無関心ではいられない問題です。
世界の温室効果ガス排出量の15%は家畜由来
Epicuriousのステートメントでは、世界の温室効果ガス排出量の約15%は、家畜(および家畜の飼育に関係するもの)から発生しており、家畜関係の排出量のうち約65%は、牛(牛乳も含む)から排出されているというデータを引用。
ジョークを交えながら、牛肉レシピの掲載を取りやた理由についてこう説明しています。
「牛や、牛を食べる人々に対する“復讐”のようなものだと思う人もいるかもしれませんが、私たちはハンバーガーが嫌いだから、この決定をしたわけではありません(嫌いじゃありません!)」
「私たちの決定は、サステナビリティ(持続可能性)に関するものであり、世界で最悪の気候犯罪者の1人に出番を与えないということです。これは、反牛肉ではなく、むしろ親地球だと考えています」
一方で、「牛肉を避けることは特効薬ではない」とも指摘しています。
すべての反芻動物(羊や山羊など)には相応の環境コストがかかり、鶏肉やシーフード、大豆も問題がないわけではありません。「完璧な選択肢はない」として、鶏肉や豚肉、シーフードの新規レシピは引き続き公開を続けるとしています。
1年越しの発表「サステナブルな料理について、会話を広げる必要がある」
牛肉レシピの掲載取りやめは、実際には1年前に予告なしで行われていたものだといいます。なぜ今になって、大々的に発表したのでしょうか?
Epicuriousは「アメリカの牛肉消費量が増加傾向にあり、サステナブルな料理について、もっと会話を広げる必要がある」と指摘し、「できれば他の食品メディアも賛同してくれるよう願っている」としています。
「気候危機への取り組みには、法律、国際協力、企業からの賛同が必要です。肉の代わりに代替肉やマシュルーム、ひよこ豆を選ぶような私たち一つ一つの行動は、あまりに微力だと感じることもあります。しかし、食料品店やレストランで牛肉を控えるたびに、私たちは信号を送っていることになるのです」
日本でも小泉進次郎環境相が2019年に国連気候行動サミットに出席するために訪れたニューヨークでステーキを食べ、「毎日でも食べたい」と語ったことについて批判が殺到。牛肉と気候危機の関係性について、広く知られるきっかけになりました。