「#看護師の五輪派遣は困ります」
愛知県医療介護福祉労働組合連合会が4月28日から実施しているTwitter上でのデモが大きな広がりを見せている。
デモは、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が大会期間中に看護師500人の確保を要請する文書を日本看護協会に送ったことに反発したもの。
これに対し、「患者を守ることに必死で五輪どころではない」などと厳しい批判が寄せられている。
医療現場からは「五輪どころではない」などの声
愛知県医労連は、28日午後2時からTwitter上でデモを開始。
「東京五輪500名の看護師派遣要請の話に現場は驚いています」とした上で、「看護師の五輪派遣は困ります」とハッシュタグを作り、「コロナ禍で看護師不足の現場にこそ派遣を」「五輪より今はコロナ対策」など声を上げていきましょうと連帯を呼びかけた。
この呼びかけに応じる形で、実際にコロナ禍で医療の現場で働く人などからも批判の声が相次いでいる。
Twitterでは「もうすでに現場は疲弊してます。五輪より優先すべき目の前の医療があるはず」「患者を守ることに必死で五輪どころではないです」などの声が寄せられている。
「いや他人事過ぎませんか」橋本会長の認識にも批判の声
NHKによると、27日に開かれた組織委やIOC・東京都による5者会談で橋本聖子・東京2020大会組織委員長は、大会のあり方について「医療に支障をきたすような状況が考えられることになったら、安心安全を最優先とするため無観客を決断しないといけない時が来るだろう」と言及。
五輪の“無観客開催”の可能性を示唆したが、これを受け医療の現場からはTwitterで「いや他人事過ぎませんか。もうとっくに医療に支障をきたしてます」などと橋本氏の認識にも批判が寄せられている。
しかも要請は「ボランティアという形で」
さらに、立憲民主党の長妻昭衆議院議員が4月28日に開かれた衆議院厚生労働委員会で行なった質問も関心を集めている。
長妻議員は大会組織委が五輪期間中に看護師500人の確保を要請したことに触れ、「これ、私もびっくりしたんですがボランティアで来てくださいと(要請に)書いてあるわけですが、(厚生労働)大臣、五輪担当ではないのは分かっていますが、看護師さんを担当する所管の大臣としてこの件をどのようにお考えですか」と田村憲久厚生労働大臣に質問。
これに対し田村大臣はまず、「いずれに致しましても、今、新型コロナウイルス感染症に関して緊急事態宣言を出しているわけでありまして、東京は大阪に比べると医療体制はまだ逼迫していないと言えどもですね、変異株が非常に増えてきておりますから、これから大阪のような状況になる可能性もあります」と見解を示した。
その上で、「オリンピックに向かって、まぁボランティアという形で、(看護師の人員を)確保しようという形で500名、そういうような要請が出ているということでございますから、そこはですね東京のことは東京で、全てのワクチンもそれからコロナ対応の医療適応体制も、東京都が絡んでいるところでございますから、その中においてしっかりと対応を頂けるものだという風に考えております」と回答。
国や政府としての見解を控え、東京都に対応を求める姿勢を示した。