アメリカで開催された男子ゴルフのメジャー選手権「マスターズ」で、アジア人として初優勝を果たした松山英樹選手に「総理大臣顕彰」が贈られる方針が決まった。ハフポスト日本版の取材に内閣官房が4月27日、明らかにした。
松山選手が優勝した直後から、Twitterなどでは「国民栄誉賞を贈るべき」との声も上がっていたが、なぜ「総理大臣顕彰」の贈呈になるのか。国民栄誉賞との違いや贈呈についての考え方について、内閣官房の担当者に聞いた。
内閣総理大臣顕彰と国民栄誉賞、違いは?
まず、松山英樹選手に贈られる見込みの「総理大臣顕彰」は、内閣総理大臣表彰規程に基づいて贈られるもの。内閣総理大臣が表彰を行う。
「国家、社会に貢献し顕著な功績のあったものについてこれを顕彰すること」を目的とし、表彰状および盾が授与される。また、表彰にあたっては金一封をそえることができるという。表彰に関する事務は内閣府大臣官房が行う。
対象となるのは、「顕著な功績があり、全国民の模範と認められるものその他内閣総理大臣が表彰することを適当と認めるもの」で、以下の6つの項目がある。
(1) 国の重要施策の遂行に貢献したもの
(2) 災害の防止及び災害救助に貢献したもの
(3) 道義の高揚に貢献したもの
(4) 学術及び文化の振興に貢献したもの
(5) 社会の福祉増進に貢献したもの
(6) 公共的な事業の完成に貢献したもの
一方、国民栄誉賞は国民栄誉賞表彰規程に基づき授与される。
内閣総理大臣が表彰を行う点や表彰に関する事務は内閣府大臣官房が担当する点、表彰の際には表彰状と盾が贈られ金一封を添えることができることも共通している。
国民栄誉賞は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」を授与の目的とする。
「総理大臣顕彰」と「国民栄誉賞」では、目的にかかるニュアンスが若干異なっている。
内閣府大臣官房人事課の担当者は27日、ハフポスト日本版の取材でこの2つの違いについて、以下のように回答した。
一概には言えませんが、国民栄誉賞の場合は、長年による功績に向けて贈るもので、また授与に至るまでの過程で各界の有識者から意見を聞いた上での授与になります。
一方、総理大臣顕彰の場合は、過去の例を見ても単発の功績に対して贈られるケースが多いです。加えて、授与に向けた過程としては、各省庁などの大臣からの推薦によるものです。今回で言えば、文部科学大臣による推薦となります。
ちなみに、この2つ共に受賞する例もある。
「総理大臣顕彰」が直近で授与されたのは、はやぶさ2プロジェクトチームで「宇宙探査において数々の世界初の偉業を達成し多大な業績をあげた功」に対し、2019年12月に授与された。
「国民栄誉賞」の直近の受賞例は2018年、フィギュアスケート男子の羽生結弦選手で「冬季オリンピック個人種目、日本人初の連覇、フィギュアスケート男子シングル競技66年ぶりの連覇など世界の歴史に残る快挙を達成し多くの国民に深い感動と勇気を社会に明るい夢と希望を与えた功」に対し授与されている。