中国政府は4月21日、アメリカの電気自動車メーカー「テスラ」に対して、地元当局に調査を命じたことを明らかにした。
世界最大級の自動車展示会「上海国際モーターショー」で、性能に不満を訴える文言が書かれたTシャツを着た女性がテスラ車の上に乗って抗議した騒動を受けたもの。中国で人気を誇ってきたテスラだが、ここにきて逆風が強まっている。
■「傲慢だ」メディアやネットが批判
騒動が起きたのは4月19日。「上海国際モーターショー」に参加したテスラのブースで、白地に赤文字で「ブレーキきかない」と中国語で書かれたTシャツを着た女性が、テスラ車の上に乗る抗議パフォーマンスをした。
テスラの発表によると、この女性は2月に河南省で事故を起こしたテスラ車の所有者。テスラ側は事故原因は速度超過によるものとしていたが、女性側は性能に問題があったとして意見が対立していた。
テスラはSNSで繰り返し声明を発表し「不合理な要求には妥協しない」とする一方で、品質や消費者とのコミュニケーションを重視する姿勢を強調していた。しかし、女性の抗議パフォーマンスの動画が中国のSNSなどで拡散されたこともあり、テスラに批判的なコメントも多く寄せられていた。
これに対し、中国の国家市場監督管理総局は4月21日、上海市と河南省などの当局にテスラへの調査を命じたことを明らかにした。テスラはこれに対し、事故が起きる前の車両データを地元当局の指定する鑑定機構などに提供する意向があるとした。
また、車両に問題がなかったかなどを調べる鑑定費用は全額負担するとし、「どんな結果が出ても受け入れます」とした。
米中対立が先鋭化する中でもテスラ車は中国で人気を誇ってきた。だが国営新華社が「中国で金を儲けながら、消費者には傲慢な態度をとるべきではない」と批判するなど、ここにきて逆風が強まっている。