女性のエンパワーメントを掲げ、2021年9月に開幕する日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」。
クラブの参入基準として掲げる項目のひとつに、スタジアムでの「託児所の確保」がある。
ここには、選手と同年代や子育て世代のひとたちにも足を運んでほしいという思いと同時に、選手らの産後復帰支援も見越してもいるという。
東京ヴィルディ主催の『SDGs²スタジアム2021』キックオフイベントに登壇したWEリーグの小林美由紀理事は、「なでしこリーグは、どちらかという4、50代の男性のファンが多いですが、選手と同じ年代の女性や、子育て世代の人の方の男女にも来てほしい」と経緯を説明する。
リーグに参入する日テレ・東京ヴェルディベレーザの岩清水梓選手は、2020年3月に男児を出産し、新リーグでの公式戦復帰に向けて準備を進めている。
小林理事は「岩清水選手からもぜひやってほしいと言われています。選手のためとしてもあったらいいと思っているので、ベレーザではマストかなと思っています」と話す。
一方で、「女性が子供を連れてこないといけないのかというのは違う」とも付け加える。
「女性だから託児所なのかともやはり言われて、Jリーグもするのも必要でしょうと。サッカー全体で、託児所の設置は、WEリーグがやるのであればJリーグもということを考えていただければ」とJリーグ側にバトンを渡した。
Jリーグはどうか。
同じく登壇したJリーグの社会連携室長の鈴木順さんが、過去に勤めていた川崎フロンターレでも、ホームゲームで託児所を用意しているという。
「親が90分間試合を楽しんで観戦するのに、子供を預かってくれる場所です。特にお母さんのためにとか、お父さんのためにということはなく、託児所を用意していたと振り返って思いました」と語った。
そのほか、浦和レッズやサンフレッチェ広島などの一部のクラブでも、ホームスタジアムで託児所を設置している。
イベントでは障害者スポーツについてのトークセッションもあり、日本障がい者サッカー連盟の北澤豪会長も登壇。
当事者との触れ合いのなかで感じることを問われて「まずやってみて、気づくことがたくさんある。どんなパスを出せば、片足の選手に対してはいいパスになるのか、今までのサッカーチームでは考えなかったことを考える」と説明。
「僕ら以上にフェイントしてシュートに持っていく姿を見て、『障害があって可哀想』ではなく、凄さに変わっていくのを、同じフィールドに立って体感できるのは何よりも教育で、共生社会のフィールドにもなっている」と語った。
東京ヴェルディは、このイベントのトークテーマとなったジェンダーや障害者スポーツに関する取り組みを通じて、スポーツとSDGsの普及活動を進めている。
その一環として5月5日、「SDGs²スタジアム2021」を開催する。障がいの有無に関わらず誰でも参加可能なスポーツプログラムを実施する。