50歳で初ミュージカル。LiLiCoが明かすチャレンジの理由と秘訣

好評連載 第19回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
Yuko Kawashima

現在、初のミュージカル公演、真っ最中のLiLiCoさん。50歳にして長年の夢に挑戦したことでも注目を集めています。

世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは「チャレンジの秘訣」です。

年を重ねて大きな挑戦を重ねるLiLiCoさんが、夢を現実に変えるための極意を語ります。

LiLiCo50歳、初のミュージカルに挑戦中!

Yuko Kawashima

今、50歳で初めてのミュージカルに挑戦しています。

オーディションを受けて配役していただいた「ウェイトレス」のベッキーは、自分でも「絶対、私に合う!」と感じていた役。

実は、あるミュージカル歌手のお墨付きをもらっています。まだ情報解禁されていない時期、その方のラジオ番組にゲスト出演したら、「LiLiCoさんに合うミュージカルの役は…」と話してくれたなかに、ベッキー役があったんです。

海外でベッキー役をやっているのは、映画『グレイテスト・ショーマン』に出演し、挿入歌の「This is me」も歌っているキアラ・セトル。「私が彼女に匹敵するってこと?」と考えると、とてもうれしい!

役が決まって、私はあらためて自分の喉と向き合いました。声帯のコンディションを整えるために手術をし、ボイストレーニングに通って歌を学び直すことにしたのです。

レッスンのない日でも、毎日、首のマッサージに吸引、発声練習を2種類、歌の練習をして…。

トレーニングを重ねてわかったのは、喉は変わるということ。今まで逃げてきた自分の声に合わない歌も、50歳にして歌えるようになったんです。

もしかしたら「ウェイトレス」が終わったら、ほかの役のオーディションも舞い込んでくるかもしれません。そのとき、私が「もう一度やりたい!」と思うか、「もう無理!」と思うかは、フィフティフィフティ。未来は未知数です。

やってみないと、それが自分にフィットしているかわからないですからね。

一緒に働きたい人になるには 

Yuko Kawashima

私は、キャリアは自分ががんばって手に入れるものだと思っています。

もちろん、周囲の協力は欠かせません。でも、どんなに大きな事務所に入っても、どんなにスター街道を走っていても、頑張らなかったら、周りは仕事したいと思わなくなってしまうもの。そうやって消えていった芸能人を、私はたくさん見てきました。

だから、仕事をするときは、他人の立場を想像しながら一緒に働きたい人になること。すぐにそうなれなかったら、演じればいいんです。初めは演技でも、いずれ自分の一部になりますから。

私が他人の立場に立てるのは、何にでも興味を持つからだと思います。何かが気になったらすぐ調べるし、わからないことがあればリスペクトを持って聞いてみるんです。

例えば、タクシーに乗っていて、いつもの道を遠回りされたらイラッとしますよね。でも私はそこで終わらせず、「今、なぜあの道を行かなかったんですか?」と聞いてみます。運転手さんなりの考えや都合があるかもしれないから。

こうして日々、気になった「なぜ?」を解消していくと、世の中の見え方が変わってくるんです。

最初は、社会は誰のことも受け入れてくれない 

Yuko Kawashima

みなさんのなかには、いままさに「がんばってるけど、社会が自分を受け入れてくれない」と感じている人もいるかもしれません。でも何かを始めたばかりのとき、社会は誰のことも受け入れてくれないものだと思うんです。

与えられた仕事でがんばって、がんばって、ちょっとしたポジションができたとき、やっと社会がついてきます。そうすると、人もついてくるんです。

私の場合、18歳で単身来日してから、22年間の下積みを経て、ようやく仕事に恵まれるようになりました。20代で会社を立ち上げる人もいるかもしれないけど、その人は特別な人です。

Yuko Kawashima

「自分はまだやりたい仕事をできていない」と嘆くなら、まずは今ある仕事のプロになってみてほしい。成績や給与でトップを目指すという意味ではなく、「この仕事で困ったらこの人」と言われるようになってほしいんです。

例えば、「コピーを取って」と頼まれる立場なら、紙が足りないとき、トナーが足りないとき、コピー機が詰まったり壊れたりしたときにどうすればいいか、わかるぐらいになってみて。

ひとつの仕事を極めると、自分がどうやったらやりたい仕事ができるのか、ヒントが見えるはずです。

私が「50歳でミュージカルに出る」という夢を現実にしたのも、自分の仕事のプロになったから。

長年、芸能界で仕事をしてきた私には、「ミュージカルや舞台のオファーは2年くらい前から来るものなのだな」ということがわかっていました。だから、(オファーを)断らなくてすむよう、47~48歳ごろからインタビューなどで「50歳の節目でミュージカルをやりたい」と話してきたんです。

やりたいことがあるなら、どんどん口に出すのも大事です。

準備の大切さに気づかせてくれた一冊の本

Yuko Kawashima

チャンスがめぐってきたとき、いつでもそれをつかめるよう準備しておくのも大事。

私は、未来の自分のために、何事も早め早めに終わらせるようにしています。

今日は原稿を書きたくなくても、時間があるなら明日の自分のために書いておく。そうしたら、翌日誰かの「ご飯行かない?」という誘いに乗れたりします。

準備しておく重要性に気づいたきっかけは、7年ぐらい前に出合った(かたづけ士の)小松易さんの『たった1分で人生が変わる 片づけの習慣』という本。こんな一文に衝撃を受けたんです。

「時間がないから片付かないのではない。片付いていないから時間がないのである」

当時の私は、まさに部屋の中にあるものを管理できていない状態。衣装を自分で担当しているから、忙しいときは、スーツケースの中身を玄関にバーッと出して、持っていく衣装をかき集めて家を出る生活でした。

地方まで行ったのに靴が片方しかなかったり、ぐちゃぐちゃの部屋から衣装を探し出すのに気が滅入ったり…。玄関に洗濯物が山積みになった家に、帰りたくなかったときもあります。

でも、小松さんの本に出合って少しずつ整理を始めたら、本当に準備がスムーズになっていきました。

10年ごとに「どこにいたいか」を考える 

Yuko Kawashima

私が挑戦するのは、小さな頃に「あんな大人になりたい」と夢見ていた人のようにありたいから。だから日々、新しい夢も生まれるんです。

夢や目標を描くなら、「○歳になったら何をしたいか」よりも、「○歳になったらどこにいたいか」を決めるのがおすすめです。

10年ごとに区切って目標を置いていくと、やりがいがあるんですよ。

プランはいくつかあった方がいい。ある人から「人生を思い通りにできた人っていないから、あなたはすごい」と言われたことがあるけど、それは私が「プランA」のほかに「プランB」や「プランC」を持っているからでもあります。

これからの私は、まず近い将来、自分のファッションブランドは立ち上げる予定です。ミセス雑誌のモデルにもなりたい。55歳になったら念願のポールダンスがやりたい!

60歳ぐらいで、スウェーデンで鉄板焼き屋をオープンしたい。これはずっと変わらない夢。

若い人には、新たな挑戦を怖がらないで、楽しい方を見てチャレンジしてみてほしいな。あなたたちの未来には、可能性しかないんですから!

Yuko Kawashima

(取材・文:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ 編集:笹川かおり

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