ここ美術館?いえ、サウナです。100℃で10分⇒冷水シャワー。アート鑑賞はこう変わる(体験記)

チームラボが企画展「最高な状態になったうえでアートを体験していただきます」
アート×サウナ
アート×サウナ
Rio Hamada / Huffpost Japan

アートをより楽しむため、自分自身を「最高の状態」にしてから作品を鑑賞したら、どうなるのか。

光と音のアート集団・チームラボが、『TikTokチームラボリコネクト』という新たな展覧会をオープンさせた。何と今回、チームラボが仕掛けたのは“アート×サウナ”。サウナに入ってアートに没入するというまったく新しいコンセプトは我々にどんな驚きや癒しをもたらしてくれるのだろうか?

実際に体験してみた!

六本木・テレビ朝日の目の前に突如現れた『TikTokチームラボリコネクト』の施設。館内に入り一歩サウナエリアに踏み入るとそこは薄暗く、頭上には色とりどりのランプが。

アート×サウナ
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Rio Hamada / Huffpost Japan
アート×サウナ
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一気に異世界に誘われるような演出が施されており、気分が上がる。

プレスリリースによれば、「本展は通常のサウナやアート展とは異なります。美術館や宮殿といった高級な場所でアートを鑑賞するのではなく、来場者自身がサウナによって最高な状態になったうえでアートを体験していただきます」とのこと。

さっそくサウナ室に行くと、ドア横にタブレットが埋め込まれている。

アート×サウナ
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見れば室温に、空きあり/満室、ロウリュまであと○分、といったこと表示が。これなら満員にもかかわらず「空いてる?」と他のお客が入ることで室温低下も避けられる。ありがたい配慮だ。

アート×サウナ
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Rio Hamada / Huffpost Japan

また「ロウリュまであと○分」といった表示があるのも嬉しい。施設には70℃~100℃の4種類、計7つものサウナがあるため、初心者からマニアまでまんべんなく楽しめる。

アート×サウナ
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まず初めに90度の「シアン」と名付けられたサウナ室に入ると、その名の通り室内はシアンカラー。

アート×サウナ
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シックで洗練された室内は、従来のサウナにまとうイメージを完全に覆す。ほどよい熱気と、鼻腔を抜ける白樺オイルの香りが何とも心地よい。次第に汗が吹きだし、10分も入るともう限界。

サウナ室を出て冷水エリアに行くと、そこには幾重にも広がる光の中から無数の蝶が飛び出してくるというアートワークが。

アート×サウナ
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そんな幻想的ななか冷水シャワーを浴びると、これが気持ちいい! 読者のなかには「え? 冷水シャワー? 水風呂がないの!? そんなのサウナじゃない!」と思う方もいるだろう。しかしチラー(冷却器)によって常時16度にキープされた冷水が全身を強烈に包んでくれ、水風呂に充分代わるものだったので安心していただきたい。1分ほど冷水シャワーに身を任せていると、全身はもうキンキン。

アート×サウナ
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Rio Hamada / Huffpost Japan

さあ、ここからが今回のメインイベントだ。サウナ→冷水シャワーと来たら、最後は外気浴でリラックスするのが通常のサウナ。しかし今回は外気浴ならぬ「アート浴」でととのう、というのがこの施設のコンセプト。

3つあるアート浴エリアのなか、まず最初に『生命は結晶化した儚い光』というアートワークに向かった。

アート×サウナ
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まるで雨のように無数の光が降り注ぎ、その光は上にも向かっていくようにも見える。冷水でキンキンに冷えた体を投げ出し作品をボーッと眺めていると光と音の洪水は瞳のなかから脳内に入り込み、もうトリップ寸前。

アート×サウナ
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Rio Hamada / Huffpost Japan

も、持ってかれる~~! これはととのいを超えたととのい、ととのいの向こう側だ! 15年ほどサウナに入ってきたが、外気浴でこんな恍惚を味わったことはない。

アート浴、これは発明だ!

チームラボ、恐るべし!

アート×サウナ
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Rio Hamada / Huffpost Japan

そのまま2セット目・3セット目も決め、残り2つのアート浴作品を順次鑑賞してみた。

2つ目のアート浴作品は、『空中浮揚』。

アート×サウナ
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Rio Hamada / Huffpost Japan

これは真っ暗な部屋に巨大な風船のような球体があり、それがピンク・紫・青など様々な色に変化しながらゆっくりと上下運動を繰り返すというアートワーク。

これも普通に服を着て鑑賞していたなら「きれいだね」とひとこと言って、そのまま通過してしまうかもしれない。でもこちらは100度のサウナで10分過ごしたのち16℃の冷水を2分も浴び、心も体も完全にととのい状態にある。

そんななかこの妖しく光る球体を目で追ううちにどんどんと没入し、球体と一体化したような錯覚させ覚えたのだ。

アート×サウナ
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Rio Hamada / Huffpost Japan

そして最後のアート浴作品、『降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命』も圧巻だった。

アート×サウナ
アート×サウナ
Rio Hamada / Huffpost Japan

横一面の巨大スクリーンに、ひとつの花が咲く。それに呼応するかのように次々と花が誕生し、いつの間にかスクリーン一杯に咲き誇ったかと思えば、それらは順に朽ちてゆき、また再生する。花鳥風月の一大絵巻に目を奪われ、生と死を繰り返すその死生観に思いを馳せる。

アート×サウナ
アート×サウナ
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サウナで心と体が癒され、仕上げのアートワークで魂が解放される。「サウナ×アート」というチームラボの新たな実験は、このような未知なる体験を与えてくれたのだ。

世間では新型コロナによる1都3県の緊急事態宣言が解除されたとはいえ、新規感染者が徐々に増え始めている状態だ。そのため、まだ外出は怖いと思う方もいるだろう。

しかしこの展覧会は定員の半分ほどに来場者を制限し、マスクの貸し出しや十分な換気など感染対策に万全を期しているというので安心して楽しめるはずだ。

筆者は週5でサウナに入るハードサウナーなのだが、このチームラボによるサウナ×アート浴体験をしたところ、次にサウナに行ったのがその5日後。つまり心と体があまりにもととのいすぎたため、体と心が5日間もサウナを欲しなかったほど。

とにもかくにもサウナマニアから初心者、カップルでも楽しめる『TikTokチームラボリコネクト』。期間は8月31日まで。

“ととのいの向こう側”を六本木で体感してみてはいかがだろう。

(取材・文:村橋ゴロー / 編集・撮影:濵田理央)

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