東京パラリンピックの聖火をめぐり、相模原市は入所者ら45人が殺傷される事件が起きた障害者施設「津久井やまゆり園」で火を採火する方針を決めた。
被害者や家族、遺族への意向確認はなく、犠牲となった女性(当時19歳)美帆さんの母親は「想像もしていなかった」と、ハフポスト日本版にコメントを寄せた。
やまゆり園を選んだ理由
東京パラリンピックの聖火は、47都道府県で採火された火を東京に集めた後、8月24日の開会式で聖火台に灯される予定。
神奈川県は全33自治体でそれぞれ採火し、神奈川県の火として送る予定になっている。相模原市は、津久井やまゆり園で採火する方針を決め、県を通じて大会組織委に報告。最終調整中という。
相模原市の担当者は、やまゆり園を選んだ理由について「パラリンピック開催の意義や目的として、共生社会の実現に向けてとうたっている。やまゆり園がふさわしいのではと判断した」とハフポスト日本版に説明。
「事件を風化させないため、障害者の方への理解を深める意味でも、この機会を捉えながら、今後も風化させない取り組みをしていく」と付け加えた。
選定にあたり、市はやまゆり園側の了承は得たが、事件被害者や家族、遺族の意向は確認していないと明かした。
参加者や採火のやり方といった具体的な方法を決める中で、被害者家族や遺族とやりとりし、意向を踏まえて詳細を決定する方針という。
やまゆり園を運営する社会福祉法人かながわ共同会は、ハフポスト日本版の取材に、被害者家族や遺族に連絡をとっていないと認めた。担当者は「指定管理者として、市や県の決定に協力していく立場」と説明している。
やまゆり園では、事件現場となった建物の再建が進められている。
事件犠牲者のひとり、美帆さんの母親は、代理人弁護士を通じて「想像もしていなかったので驚きました。言うことはありません」とコメントした。
(取材、文:濵田理央)