コロナ禍の2020年、世界で音楽の売上が増加。ライブ公演ができない中、サブスクリプションサービスでの音楽需要が増え、また韓国のボーイズグループBTSが大きな存在感を示した。
世界のレコード産業を代表する組織であるIFPI(国際レコード産業連盟)は、2020年の音楽売上等をまとめたグローバルミュージックレポートを3月24日までに発表。コロナ禍でSpotify、Amazon、Apple Musicなどのサブスクリプションサービスの利用が増え、全世界で音楽の収益は、前年比で7.4%増加した。総売上は216億ドルに達し、6年連続の成長となった。
BTSが年間売上1位に。ユーザー数4億人超え
IFPIの発表によると、最も売り上げたアーティストはBTS、続いてテイラー・スウィフト、ドレイクなどが並んだ。トップ5は以下の通り。
1. BTS
2. テイラー・スウィフト
3. ドレイク
4. ザ・ウィークエンド
5. ビリー・アイリッシュ
有料音楽サブスクリプションサービスの収益は18.5%増加。広告サポートも含めると19.9%増加で売上は134億ドルに達し、これは全音楽収益のおよそ62%にあたる。2020年末までに全世界で有料サブスクリプションサービスのユーザー数は4億4300万人に達した。
コロナ禍において、主にサブスクリプションサービスを通して音楽の売上が向上したことを受け、IFPI代表のフランシス・ムーア氏は「世界中で新型コロナウイルスによるパンデミックと闘う中で、音楽は私たちを慰め、癒し、鼓舞する変わらぬ力を持つことを証明した」などとコメントしている。
背景には、ライブ公演収益の減少も
サブスクリプションサービスの市場が拡大する一方、厳しい状況に置かれているのが、ライブ公演からの収益だ。
新型コロナの感染拡大を防ぐため、多くの国で大規模な音楽フェスを含むイベントやライブ公演を行うことができず、公演からの収益は10.1%減少した。
ムーア氏は「すばらしい楽曲の力や、アーティストとファンの繋がりなど、いくつもの不朽のものがあります。しかし中には変わったこともあります」と指摘。都市のロックダウンによりライブ公演が行えず、多くの人がストリーミングサービスで音楽を楽しむようになったという、音楽の需要の変化について言及した。
その上で、「音楽はこれまで以上にグローバルに接続され、この成長は世界中のすべての地域に広がっています」とも分析した。
日本は2位。韓国の急速な市場拡大にも注目
国別の音楽マーケットの規模では、アメリカが1位、次いで日本、イギリス、ドイツ、フランス、6位には韓国が並んでいる。
アジア全体では音楽の収益は9.5%増加している。特に注目すべきは、韓国が前年比44.8%増と、そのマーケットを急速に拡大させている点だ。
2020年、K-POPを代表するアーティストであるBTSは「Dynamite」がアメリカのビルボードメインシングルチャート「HOT100」で1位を獲得。グラミー賞にもノミネートされる快挙を果たし、世界の音楽業界に大きなインパクトを与えた。
2020年にBTSがリリースしたアルバム『Map Of The Soul:7』『BE』はそれぞれ、IFPIが発表する年間グローバルランキング「IFPI Global Album All Format Chart 2020」(CDパッケージ、デジタルダウンロード、ストリーミングサービスなど、すべての消費形式をふまえ選ばれる年間最優秀アルバム賞)の1位と4位に選出されるなど、売上面での成果も大きい。世界的なK-POPブームを牽引するBTSの実力を示す結果となった。