無料チャットアプリ「LINE」で、ユーザーの本名や電話番号などが中国の技術者から閲覧可能だったことなどがわかった問題で、特別委員会の宍戸常寿(ししど・じょうじ)東京大学大学院教授らが取材に応じた。
宍戸教授は、自身が「LINEみらい財団」の理事であることを問われたが、委員会の座長を務めるにあたり辞職したと説明。その上で「本当の病巣がどこにあり、どういう手術が必要になるかはこれから」とし、検証には一定程度時間がかかる認識を示した。
■「3月19日付で辞職」
LINEの親会社の Zホールディングスは3月23日、外部有識者による特別委員会を開いた。委員会の冒頭では、出澤剛社長が、中国に委託していた開発業務などを終了させ、アクセスを完全遮断すると発表。韓国のサーバーに保管されている情報も順次、国内移管させるとした。
初回の会合が終わったあと、座長の宍戸教授らが取材に応じた。
最初の質問で、報道陣が「ご自身は現在もLINEみらい財団の理事を務めているのか」と聞くと、宍戸教授は「利益相反の外観を生じさせる恐れがあるため、3月19日付で辞職の届けを出した。(今は)理事ではない」と否定した。
LINEみらい財団はAIやICTに関連する教育や普及活動を進める目的で、2019年12月にLINEが設立。宍戸教授は設立時の理事に名を連ねていた。
そのうえで、LINEをめぐる一連の問題の深刻さについて尋ねられると、「本当の病巣がどこにあり、どういう手術が必要になるかはこれから」とし、検証には一定程度時間がかかる認識を示した。
そして、「個人的な考え」と前置きした上で「どこで、どういうデータが、どう取り扱われていたのか。必要な説明を利用者にするデータガバナンス体制がしっかり構築されていたのか、不備があったのではないか、が問題の本丸であり、プライバシーポリシーの不備などは派生的な問題ではないかと考えている」と話した。