日本初となる同性婚訴訟の判決が、3月17日に札幌で下される。
判決の前日となる3月16日、ゲイ男性の国際ミスターコンの日本大会「MR GAY JAPAN」が、同性婚の法制化を求める署名キャンペーンで集められた約2万7000筆と要望書を法務省に提出した。
要望書では日本国籍を持たない同性パートナーの在留資格や、子育てをする同性カップルの共同親権など、結婚を望む同性カップルにも異性婚と同等の法的保障を求めている。
婚姻の平等を求めている「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、2019年2月に始まった。全国の同性カップルが、同性間で結婚ができないのは違憲だとして国を相手に提訴し、東京・大阪・名古屋・札幌・福岡の5地裁で現在続いている。
MR GAY JAPANは2020年8月に署名活動を開始。昨年度は新型コロナウイルスの影響でコンテストの開催を断念せざるをえなかったが、日本のLGBTQの環境改善や、同性婚の賛同への取り組みを目に見える形にしようという思いが発足のきっかけだった。
提出後、法務省の担当者と意見交換が行われた。
ミスター・ゲイ・ジャパン運営代表の市川穣嗣さんや、2021年コンテンストのファイナリストは「国は同性婚に対して、どのようなスケジュールで検討しているのか」「誰が検討しているのか」「外部識者を入れた検討会を設置していくべき」などと提起した。
それらを受け、法務省の担当者は政府の見解として、「現時点で同性婚の導入は検討していない」「我が国の家族のあり方の根幹に関わる問題。極めて慎重に検討を要する」と繰り返した。
署名と要望書の提出にはレズビアンであることを公表している尾辻かな子衆院議員、「結婚の自由をすべての人に」訴訟原告のただしさん、HIV陽性者の支援や予防啓発などに取り組むNPO法人「ぷれいす東京」の生島嗣さんらも参加した。
ただしさんは「『家族のありかたの根幹に関わる問題だ』と(いう言葉を)聞くが、人の命の根幹に関わっている問題だと思っています」と話した。
「性的指向は自分では変えられないもの。ただ同性を好きになるだけなのに、それによって二流市民のような扱いをずっと受けている。1日でも早くこの国が変わって欲しいと思っています」
日本は主要7ヵ国で唯一、同性婚ができない。
2019年6月には尾辻議員を含む野党の議員らは「婚姻平等法案」という、民法の一部を改正して同性間の婚姻ができるようにする法案を提出している。
これまでに国側は同性婚について「想定されていないので、同性婚を検討したことはない」などと主張している。
同性カップルに婚姻の平等を求めている「結婚の自由をすべての人に」訴訟。3月17日、11時に札幌地裁で判決が言い渡される。