厚労省は3月16日、国内における2020年の自殺者が、確定値で2万1081人だったと発表した。前年の2019年より912人(約4.5%)増え、11年ぶりに増加に転じた。
自殺者は、男性が11年連続で減少している一方で、女性は2年ぶりに増加。統計から、女性や若年層で増えたことが全体の増加要因・背景と読み取れる。
警察庁の統計をもとに厚労省がまとめた。
前年からの増加率は女性が15.4%(935人)、未成年は17.9%(118人)。未成年のうち、女性は44%(95人)の大幅増だった。
コロナ禍の影響や生活の変化などが、自殺者が増えた背景の可能性がある。
月別で見ると
月別で見ると、1月〜6月にかけては概ね例年を下回る水準だったが、7月から急増。最も多かったのが10月で、2000人を超え突出している。
年代で見ると
年代で見ると、50〜60代を除く各世代で前年より増加。20代が最も多い404人(19.1%)増で、10代も118人(17.9%)増えた。一桁だった他の世代と比べて、若い世代の増加率が顕著だった。
職業で見ると
職業で見ると、前年と比較して、自営業・家族従業者が最も大きく減少(144人、10.2%減)した一方で、被雇用者・勤め人が最も大きく増加(540人、8.7%増)した。増加率では学生・生徒等が17.0%(151人)と最も多かった。
増加の背景は?
統計全体を見ると、減少傾向だった自殺者数が7月ごろから急増し、特に女性や若年層で増えたといった傾向が読み取れる。
この背景や要因に関して、厚生労働大臣指定法人「いのち支える自殺対策推進センター」(JSCP)が10月、コロナ禍の自殺の動向の分析結果を報告した。
その中で、人気俳優の自殺報道や、新型コロナウイルスによる生活環境の変化などが影響している可能性を指摘している。
女性の増加傾向については、経済生活問題や勤務問題、DV被害、育児の悩み、介護疲れなど様々な問題が背景にあることを指摘。「コロナ禍において、自殺の要因になりかねない問題が深刻化していることが、女性の自殺率の増加に影響を与えている可能性がある」とみている。
若年層では、特に女子中高生から「休校明けでクラスが変わり、馴染めなくて辛い」「家族がずっと家にいていらいらしていて、ストレスのはけ口にされている」といった、コロナ禍の影響がみられる相談が相次いだという。
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