3月8日の国際女性デーを前に、国会で女性議員を増やそうと活動している市民団体による集会が参議院議員会館で行われた。
9月までに行われる衆院選に向けた女性候補者の擁立目標など、「クオータ制を推進する会」(代表・赤松良子氏)の質問に対して各政党が関係者が回答した。
「党主導で女性を増やすのは民主主義の否定」
自民党の野田聖子幹事長代行は「候補者を選ぶときには、有権者に一番近い地方組織での議論を経て党本部が公認や推薦するのが大前提。にわかに党主導で人(女性)を増やすのは我々が築き上げてきた民主主義を否定することになる」として、「次の衆院をターゲットにするのではなく、身近な政治である地方議会の中に女性をどんどん増やしていくのが当面の大きな目標だ」と擁立目標を回答しなかった。
2018年に成立した候補者男女均等法では、「男女の候補者の数ができるかぎり均等となる」ことを目指し、各政党に男女の候補者数について目標を定めるよう努力義務を課している。野田氏は法制化を推進した超党派議員連盟発足の中心だった。
衆院選の候補者はほぼ固まっているといい、「空白区があまりない中でも極力女性が出れるような様々な取り組みをしていることはご理解いただきたい」と語った。
これに対し、一橋大の中北浩爾教授(政治学)は「少しがっかりした」と述べ、「自民党の地方組織は残念ながら男性優位の元凶でもあるので、地方組織の自助努力に任せるということでは進まないと思う」と指摘した。
自民党を変えるには?
衆院の女性議員の割合は9.9%で、世界190カ国中167位。女性議員の割合が3割を超えている政党はない。中でも、議員全体数に占める割合が大きい自民党は7%ととりわけ低い。
中北教授は「自民党の地方組織は党の強さの源泉なので、内部からはなかなか変えられないというのも事実」とした上で、「ならば野党が積極的に女性を擁立して選挙で勝って、自民党を変えるインパクトを外から与えることも効果的だ」と語る。
上智大の三浦まり教授は「候補者男女均等法を改正し、各党が数値目標を設けることを義務化してはどうかというアイデアも出ている。この改正案がまとまって国会に出ることを強く望んいる」と訴えた。
他の政党の次期衆院選にむけた他の政党の女性候補の擁立目標についての回答は以下の通り。
公明党(古屋範子氏)
「まだ最終的な公認決定は決着しているわけではございません。そこのところは選挙が確実に行われるというところまでは未確定でございます」
立憲民主党(平野博文氏)
「30%を目標として、着実に候補者を擁立するだけではダメだと思っています。いかに女性に議席を取ってもらうかというのも大事な視点だと思っていまして、その環境整備が大事な軸だと思っています」
共産党(小池晃氏)
「候補者男女均等法を誠実に実行する上でも、有権者の比率に相応しく男女50%を目指すのは民主主義の立場から当然と考えますので、女性候補者の擁立目標は50%ということで努力をしていく」
日本維新の会(浦野靖人氏)
「具体的な数値目標は、なかなか現実とギャップがありすぎて…。候補者を公募しても女性が全然きてくれないという現実もありますので。出来る限り女性候補者を発掘して女性を議会に送り出していきたい。現時点で前回衆院選挙より女性の数は多いんじゃないか、少しずつですけど、一歩一歩進めていけたらと思っている」
国民民主党(岸本周平氏)
「目標は35%に調整中で、4月の党大会で決定する予定です。パリテ(50:50)は一番いいと思うが、現実的なのは、50%などの目標を設定して満たないところは政党助成金を減らすのが一番マイルドなのではないかと思っています」
社民党(福島瑞穂氏)
「50%は死守して頑張っていきたい」