ナプキン買えず授業を欠席…生理用品を無料で提供。「生理の貧困」対策、海外で相次ぐ【国際女性デー】

「生理の貧困」をなくそうと、スコットランドで2020年、世界で初めて生理用品の無料提供を定めた法律が成立。同様の動きはニュージーランド、フランスなど海外で広がり始めている。
「生理の貧困」対策を求めるスコットランデモの参加者たち
「生理の貧困」対策を求めるスコットランデモの参加者たち
Jeff J Mitchell

ナプキンやタンポンなどの生理用品の購入費用を負担できない「生理の貧困」。女子生徒が生理期間中、学校に行けないケースも海外で報告されている。

こうした問題を改善しようと、政府が生理用品を無料で配布したり、軽減税率を導入したりする取り組みが、国外で広がっている。

日本では、国による生理用品の無料提供などの政策はない。「生理の貧困」対策として、他の国ではどのような動きが進んでいるのか?

世界初の法整備 スコットランド

スコットランドは2020年11月、世界で初めて生理用品の無料提供を定める法律が成立したことで注目を集めた。

生理用品を購入することの経済的負担をなくすことが目的で、学校や公共施設で、生理用品を必要とする全ての人に無料で提供される。

市民団体「Young Scot」の調査によると、同国の中学生以上の生徒や大学生、就学や就労についていない女性の4人に1人が、生理用品の入手が困難な状態にあるという。

スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、「女性や女の子たちのためになる重要な政策です」などとツイートした。

ニュージーランド「子どもの幸福にプラス」

ニュージーランドは、2021年6月から学校で生理用品を無料で提供することを決定した。

BBCによると、ニュージーランドの若者の12人に1人が、タンポンや生理用ナプキンなどの生理用品を買う経済的余裕がなく、授業を欠席していることが問題になっていた。

ジャシンダ・アーダーン首相は2月、「人口の半分を占める人たちにとって生活の一部である生理を理由に、教育の機会を奪われる若者がいてはいけない」と指摘。生理用品を無料で提供することは、「政府が貧困問題を対処し、学校への出席を促し、子どもたちの幸福にプラスの影響を与えることができる一つの方法です」と強調した。

生理用品のイメージ写真
生理用品のイメージ写真
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フランスは大学生に

「もはや容認できない『目に見えない不公平』から、女性たちの尊厳を守らなければいけません」

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2020年12月、Twitterで「生理の貧困」問題に対する考えを投稿。国として対策を講じることを明言していた。

2021年2月、フランス政府は、全ての大学生に対して生理用品を無料で配布することを発表した。

ドイツメディアのドイチェ・ウィレ(DW)などによると、現地で行われた調査で、6500人の回答者のうち13%が「生理用品の購入か、他の日用品を購入するか」を選択しなければいけなかった経験がある、と答えていたという。

NHKニュースによると、フランス国内の大学の学生寮やキャンパスで生理用品の無料提供を進め、9月から始まる新学期までに全ての大学生が入手できるようにする方針という。

非課税の国も続々

無料で提供する以外の方法を打ち出す国もある。

イギリスは2021年1月から、「タンポン税」と呼ばれていた生理用品に対する付加価値税を廃止した。CNNによると、カナダ、インド、オーストラリア、ケニアや、アメリカの複数の州でも生理用品を非課税としている。

日本でも、生理用品の経済的負担をなくすため、軽減税率の対象とするよう求める署名運動が始まっている。署名のページでは、「生理用品は決して贅沢品ではありません。多くの人が社会で安心して学び、働き、生活し、自己実現するのに必要不可欠なものです」と呼びかけており、賛同者は4万5000人を超えている(2021年3月1日時点)。

(國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)

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