「料理は好きだけど、献立を決めるのが大変」⇒ 家庭料理はマンネリ上等ですよ

第12回 白央篤司の「家事の“ごはん作り”担当の皆さん、おつかれさまです!」
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新型コロナの影響から家にいる時間が増え、ごはんを家で食べる機会が増えました。家事の大変さがあらためて浮かび上がります。日々のごはん作りを担当されている方、毎日本当におつかれさまです! 炊事に関するお悩み、共有していきませんか。そして「誰かに作ってもらっている人」も、ぜひ読んでください。ねぎらい合うためのヒントが、必ずやあると思います。

第12回 神奈川県 芝村さん 34歳

「調理自体は好きな方なのですが、毎日の献立を決めるのがけっこうな苦痛です。

普段は冷蔵庫にあるものからメインの食材(肉か魚)を選び、それを使った主菜、それから副菜1~2品、汁物を組み立てるようにしていますが、マンネリになりがち。家族の好みに合わせると、自分好み100%の献立にならないのも地味にストレス。でも、自分好みのものを出して余るのも嫌です。ごくたまにひらめいて、パパッとメニューが決まった日はとても嬉しい!」

「料理は好きだけど、献立を決めるのが大変」

毎月届いてくる声の中でも、とても多いもののひとつです。

「気が向いたときに、自分の好きなようにする料理」は楽しいけれど、「家族や共同生活者のためにデイリーにやらねばならない料理」はまた別の話なんですよね。このこと、世間からはあまり理解されないというか、理解されにくい。

いかに料理好きとて、毎日やっていればすぐネタ切れになるもの。私もそうでした。わりに料理には自信もあり、レパートリーもあったほうだと思いますが、ツレと暮らし始めて半年もしないうちに日々の料理がマンネリに陥り、「同じようなものしか作ってないな……」と相手に対して勝手に申し訳なさ、後ろめたさを感じて、苦しかったですね。そういう思いを告げたら「なんでそんなことで悩むの!? 3日ぐらい同じおかずでも私は全然かまわないよ」とあっけらかんと言われて、随分と救われました。

しかし芝村さん、「主菜・副菜1~2品・汁もの」って構成はフルスペックで、すごい。栄養バランスは最高かもですが、ただ献立決めに苦痛を感じられているなら、ラクを優先して品数少なくしてもいいのでは? 私、「カレーやシチューかけごはん+汁もの」の構成とか、パスタだけの日もよーくありますよ。「ひと品じゃさびしいな」と思うこともありますが、「いやいや、きょうは料理に手間かけるよりも、自分ケアを優先するのだ。じゃないと、もたない。続かない。続けていけない」と考えて。

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私はね、家の料理ってマンネリ上等じゃないかと心から思ってます。一番優先されるべきは、作っている人がつらくならないこと。芝村さんが今後も担当していかれるなら、「自分がつらくない、大変じゃない」を最優先すると決めてしまいませんか。そうすると、考え方や、見えるものがいろいろ変わってくると思います。家族を思って合わせてあげるのも素敵なことですが、結局はキリがない。「家の料理は作る人の事情・都合が優先」と示すことは、将来的にお子さんたちが誰かと暮らすとき、有益なことだと私は思いますよ。

芝村さんは「苦痛」という言葉を使われた。こういうときはね、解決策よりもまず休みが必要に感じます。家事って、自分で決めないかぎり休みはないもの。家事だって仕事ですよね。世の中の多くの仕事には週休がある。だから家事も、本当は週休が必要なはずです。休む時間があればこそ、やる気が養われる。「そうはいっても休めない」かもしれません。ただ「自分は休息が必要な状況なんだ」ということは自覚してほしい。そういう気持ちはだらしないことでも、なまけ心でもありません。

※引き続き、日々の自炊、食事の用意に関してつらいこと、悩んでいること、大変に感じていること、こちらから自由にお送りください。お名前(ハンドルネーム可)、年齢、できればお住まいの地域もご記入ください。

白央篤司(はくおうあつし)

1975年生まれ。「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と平日の洗濯、猫2匹の世話を担当。Twitterブログ

(編集:笹川かおり)

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