新型コロナウイルス感染症予防のため非常事態宣言がなお継続されるなど、まだまだ「ステイホーム」の長い日々が続きそうです。沈みがちな気持ちを潤すため、好みの豆を購入し、自宅でコーヒーをいれて味わうことを楽しみに過ごす人も多くなっています。
そこで、自宅でコーヒーをいれるときに味に差がつくいれ方を、キーコーヒー・コーヒー教室に伺いました。
(1)コーヒー豆を冷蔵・冷凍保存してそのまま抽出
「コーヒー豆は冷凍庫で保存しても構いません。ただし、いれるときに豆をしっかり常温に戻しておく必要があります。
冷蔵・冷凍保存していた豆は、当然冷えています。そのままだといれるときに注いだお湯の温度が適温より下がってしまい、コーヒーがうまく抽出されない原因になってしまいます。また冷凍保存の場合、解凍した時に結露が発生しやすく、コーヒー豆がしけってしまう可能性があります」(キーコーヒー)
冷凍保存していた豆が常温に戻るまで、30分ほどかかるそうです。自宅で思い立ってすぐ、コーヒーをいれて飲みたい方はコーヒー豆を冷凍庫で保存するのは、避けたほうがよさそうです。
ほかに保存時の注意点はあるのでしょうか。
「ご自宅では常温で、冷暗所での保存がおすすめですが、まずは正しい容器を選ぶようにしてください。コーヒー豆にとっての“大敵”は、湿度・温度・酸素、そして光です。密閉されていても、半透明な容器や透明な冷凍用ジッパーバッグは光が当たるので、光が当たらない缶などの密閉容器がおすすめです。
おいしくコーヒーが飲める豆の保存期間は開封してからおよそ1カ月、粉ですと約2週間が目安です。その間に使い切れる量を購入するのがポイントです」(キーコーヒー)
(2)沸騰したてのお湯を注ぐ
「できるだけ熱々のお湯で注ぎたくなるかもしれませんが、沸騰したてのお湯を注ぐと、苦みや酸味が強く出たり、雑味などの味を損なう成分が抽出されやすくなったりしてしまうので、好ましくありません。
バランスのいい味わいのコーヒーを抽出するために最適な温度は、95~90℃です。できれば温度計で計ってからお湯を注ぐようにしましょう」(キーコーヒー)
手元に温度計がない場合の目安はありますか。
「お湯が沸騰するとボコボコと大きな気泡が出てきます。そうしたら火を止めて、小さな気泡も静まったころが、95℃前後に下がった目安です」(キーコーヒー)
(3)お湯をむやみに回し入れる
「お湯を注ぐ際に、ペーパーフィルターのふちのほうの粉にまでお湯をかけてしまうと、コーヒーの層を通過しないので、抽出不足になります。また、むやみに回し入れるのは控えてください。雑味や渋みをともなった泡を、発生させる原因になるからです。
正しくいれると、バランスがよいコク深いコーヒーが抽出できます。具体的ないれ方のコツは、この後お話しします」(キーコーヒー)
そのほかに注意するべき点は?
そのほかに注意するべき点、正しいいれ方とはどのようなものなのでしょうか。
「1回目の注ぎは、コーヒーのおいしさを決める一番大切な『蒸らし』という工程です。お湯がフィルター内の粉全体に浸み込む程度に注ぎます。コーヒー粉にお湯を浸み込ませることで、おいしい成分が十分に引き出されるので必ず忘れずに行ってください。
1回目の注ぎ『蒸らし』は適温になった少量のお湯を、フィルター内の粉の中央から渦を広げるようにゆっくり浸み込ませ、20秒ほど待って蒸らします。ここではきちんと時間を計ることが必須です。
円すい型のドリッパーの場合、2回目の注ぎからは先に申し上げたように、むやみに回し入れないよう注意が必要です。具体的には粉の中央で、500円玉ぐらいの円を描くように、ゆっくりくるくると、多めにお湯を注ぎます。そうすることで、濃縮されたおいしいコーヒーが抽出されます。
2回目に一番多くのお湯を注ぎ、3回目、4回目と湯量を減らしながら、合わせて5~6回に分けて注ぎ分けます。
3回目以降は、お湯を注ぐタイミングが大切です。粉の中央がくぼみ、表面の泡の層が崩れないうちに、2回目と同様に500円玉を描く要領で注ぎます。フィルター内のお湯が途切れないうちにこれを繰り返し、杯数にかかわらず、合わせて2分30秒~3分の間で抽出します。
注いだお湯を全部落としきってしまうと雑味や渋みを伴った泡が抽出液に入ってしまうので、抽出液がサーバーの杯数分の表示まで達したら、抽出の途中でもドリッパーを外します」(キーコーヒー)
最後はコーヒーの濃度が均一に整うようにサーバーを攪拌(かくはん)して、あらかじめ温めておいたコーヒーカップに注ぎます。これでできあがりです。
正しいいれ方をマスターして、自宅でおいしいコーヒーを味わいましょう。
関連記事