東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は2月12日、臨時懇談会後に開いた記者会見で、森会長が今後の何らかの役職に着く可能性について「現時点でそういう話は出ていません」と述べた。
武藤氏は冒頭で、今回の問題を受けて、組織委内にジェンダー平等を推進するためのプロジェクトチームを結成すると説明。具体的な数値目標には言及しなかったが、理事や評議員、幹部の女性比率を増やすことを掲げた。
懇談会で辞任表明した森会長は、会見に出席しなかった。
質疑応答で、その理由について武藤氏は「すでに辞任し、メディアでの説明もされた。大勢の人の前で辞意表明をして、会長はそれで十分だと判断された」と述べた。
森会長が自身の発言を「解釈の問題」と説明したことへの見解を問われると、「解釈の問題ではなくて、発言の内容は不適切であると認識しています」と述べた。
森会長が今後、何らかの役職につくか問われると「現時点でそういう話は出ていません」と説明。同様に質問に対して「IOCも森会長が、オリパラに対して、引き続き、ポストに就くということでなくて、ご指導いただけることが望ましいと言っている方もいます。さまざまな議論を今後検討しながら、適切な結論を得ていくことになる」と、完全に否定はしなかった。
武藤氏が森会長の辞任を引き留めたという報道に対しては「私は個人的な意見を述べたつもりはありません」と釈明。多くの人からの意見として「やめると準備に支障ができるので、森会長の続投が望ましいという意見を申し上げた」と濁した。
森会長が、後任として選手村の村長で組織委評議員を務める川淵三郎氏に就任を要請したと報じられていた。この点については武藤総長は「私が理解する限り、具体的に組織委の中で議論したことはない」と否定した。
今回の森会長発言をめぐって、懇談会に出席した理事や評議員からは「森会長の辞任だけでなく、構造的な問題だ」という意見も上がったという。
これを踏まえて、組織委のガバナンスが不十分ではなかったかと質問されると、武藤氏は「森会長の発言の不適切さという問題に関連して、組織委の問題も重く受け止めたいと思います」と述べた。