アメリカでアジア系俳優として映画・ドラマで活躍するダニエル・デイ・キムさんとダニエル・ウーさんが、アジア系アメリカ人を対象としたヘイトクライムに抗議の声をあげている。
キムさんとウーさんは、オークランドのチャイナタウン地区で起きた、91歳の男性に暴力的な攻撃をした人物の逮捕と有罪判決につながる情報を求め、2万5000ドル(日本円でおよそ260万円)の報奨金を提供すると、インスタグラムで発表した。
ABC 7Newsによると、60歳男性と55歳女性にも路上で暴力をふるったという。その後、暴行などの容疑で起訴された。
「アジア系へのヘイトクライムは、しばしば無視される」
人気ドラマシリーズ『LOST』の出演などで知られるダニエル・デイ・キムさんはインスタグラムで、「アジア系アメリカ人に対するヘイトクライムの数は、私たちが繰り返し訴えているにもかかわらず、急増し続けています。その犯罪はしばしば無視され、言い訳さえされる」と指摘。
「この理不尽な暴力で苦しんでいる何千人ものアメリカ人を助けるために、私たちにはすべきことが多くあります。この犯罪者を裁判にかける手伝いをしてください」と呼びかけていた。
キムさんとウーさんの呼びかけには、ハリウッドで活躍する著名なアジア系俳優も賛同した。
『クレイジー・リッチ!』などに出演するジェンマ・チャンさんはインスタグラムで、ヘイトクライムで亡くなったアジア系の人々の名前をあげた上で、「意識を高め、政府とメディアにこれらを『ヘイトクライム』だと認識し、行動を起こすよう呼びかけてください。 暴力は、沈黙を破った時にようやく終わります」などと訴えた。
また、同じく『クレイジー・リッチ!』に出演するヘンリー・ゴールディングさんもツイッターで「アジア系のコミュニティに対する、人種を動機とした理不尽な攻撃は逃れることはできないのだと理解してくれることを望みます」と述べた。
コロナ禍で増えたアジア系へのヘイト
2020年初めに新型コロナウイルスの感染が拡大して以来、アメリカではアジア・太平洋諸国系のアメリカ人(AAPI)に対する人種差別的な攻撃が急増している。
ヘイトや差別を加速したのが、トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」「カンフルー(カンフーとインフルを組み合わせた造語)」と呼び、アジア系へのヘイトを煽るような発言を繰り返してきた言動だとも指摘されている。
バイデン大統領は1月26日、AAPIへのヘイトクライムや人種差別に厳しい対応を取るよう連邦機関に求める大統領令にサインした。