2000年のシドニーから3大会連続でオリンピックに出場した為末大さんが2月8日、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の「処遇の検討を求めます」とする意見を発表した。
森会長は「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」などと発言。謝罪・撤回したものの辞任は否定しており、その後のテレビ番組では撤回の理由について「撤回した方が早い」と語るなど、その後の対応にも批判が集まっている。
為末さんはTwitterで、「沈黙は賛同であると言われ、強く反省しています。 私はいかなる性差別にも反対します。そして、理事会での森会長の処遇の検討を求めます」とし、公式サイトのURLを紹介。
「原理原則を守り、良い方向に変わっていける国へ」としたエントリでは、東京オリパラではコンセプトとして多様性と調和が掲げられているが、「日本のスポーツ協会の理事構成は男性9割弱、女性は1割強」などと、日本のスポーツ界におけるジェンダーギャップの大きさを指摘。
背景のひとつとして、森会長の発言を念頭に「いざ議論をする場所では誰も本気で議論せず、意見を言う人はむしろ煙たがられるような文化が、日本の発展を改革を阻んできたではないでしょうか」と分析している。
「森会長もさまざまな貢献をされているのだと思います。しかしそのこととは一線をおいて、発言や行動が原理原則に反した場合、然るべき対応をとる」ことが重要だと述べている。
その上で、こう意見をまとめた。
この問題は社会の構造であり、そして私自身の中にもある問題だと思っています。昨日沈黙は賛同であると言われ、はっきりとした意見を出していないことを強く反省をしました。私たちはこの機会に、本気でこの課題に向き合い、誰もがオープンに議論に参加でき、また個人は声を出す勇気を持ち、理想を描ききちんと現実を変えていける社会を作るべきではないでしょうか。それこそがvisionの体現であり、本当のレガシーになるのではないかと思います。
文書の最後では、「私はいかなる性差別にも反対します。そして、理事会での森会長の処遇の検討を求めます」と表明している。
Twitterでは、ゴールドマン・サックス証券で副会長兼チーフ日本株ストラテジストを務めたキャシー松井さんに「『沈黙していることで、国際社会は日本人男性は皆女性差別的だと見ている』と聞きました」と、この意見を出すきっかけを明かしている。
アスリートたちからも批判やまず
森会長の発言に対しては、他のアスリートからも批判の声が絶えない。
陸上女子100メートル障害の日本記録を持つ寺田明日香さんはTwitterに「現代社会においては、残念なご発言かと。。 五輪を大切に想うなら尚のこと」と投稿。時事ドットコムのインタビューでは、周囲が進退を考えるべきと指摘している。
朝日新聞によると、ロンドンオリンピック競泳女子200メートル平泳ぎ銀メダリストの鈴木聡美さんも2月4日のレース後、「一言で言うのでしたら、かなり残念なのかなと思いますし、怒りも正直ありました」とコメント。
サッカー選手の下山田志帆さんも発言を受け、「久々に怒っています。日本のスポーツ界は、性の多様性を発信するフェーズにまでいけていないということを如実に表していますね」などとTwitterに投稿。
女子テニスで世界ランキング3位の大坂なおみさんも「いいことではない。少し無知な発言だと思う」とコメントするなど、怒りや新たな体制を求める声は次々と上がっている。