「性的マイノリティは独特な性的趣向のせいで差別対象になりやすい」。韓国でこのように高校の教科書に記載されている部分について、国家人権委員会は1月31日、これが差別を助長する文章だとして、削除の対象と判断した。
国家人権委員会は1月31日、さらに教育部に対して教科書検定の基準を強化するようにとの意見を表明した。この教科書は2013年に教育部の教科書検定を通過していた。
人権委によると、陳情があったのは2019年。当時使われていた高校の「生活と倫理」の科目の教科書で、性的マイノリティに対する差別的な内容が書かれているとの申し立てだった。
この教科書では、性的マイノリティを「身体的または文化的特徴のために、区別される人を指す。彼らは、独特な性的趣向のせいで、マジョリティから差別される対象になりやすい」と説明していた。同性愛に対しては、「同性間での性的接触や結合」と定義していた。
また、「同性婚」をどのように考えるのか?というテーマの項目では、賛成と反対の意見を4つずつ記していた。
反対の主張として、「同性愛は、治癒できる精神的疾病」「非常識的な性行為でエイズと性病が拡散される」「同性夫婦は子どもを産めず、人口が減少する」「同性夫婦が子どもを養子にする場合、子どもたちは深刻なアイデンティティの混乱と苦痛を経験する」などの意見があると提示した。
教科書を制作した出版社はこれに対し、「両方の意見を均等に反映させようと努力した。賛否の意見のうち、どちらも支持していない」という立場だったという。
しかし、この出版社の言い分に対して、人権委は「教科書には、価値中立的で、性的に平等な教育内容が反映されるべきだ」とし、「このような表現を教科書に掲載しないため、検定基準を強化する必要がある」と表明した。
人権委「性少数者に対する否定的な固定観念強化」
さらに、人権委は「人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうかを示す『性的指向』ではなく『性的趣向』という誤った用語を使用し、個人のアイデンティティがまるで選好の問題、または選択可能な問題のように記述した」とし、「性的マイノリティに対する否定的な偏見を強化する」と判断した。
続けて、同性愛を「同性間の性的接触や結合」として定義したことに対しては、「同性間の愛、または同性に対する愛という包括的な意味とは異なり、性的接触や結合だけに矮小化している」と説明した。同性婚に両方の意見を載せたことに対しては、「性的指向というアイデンティティを評価対象、または賛成と反対の対象とし、固定観念を誘発することもあり得る」と述べた。
一方、教育課程の改訂があったことから、この教科書は2020年からは使用されていない。そのため、陳情自体は棄却としている。
この記事は、ハフポスト韓国版を翻訳・編集しました。