地域などによる違いはありますが、1月下旬~2月は降雪の多い時季です。降り方や性質などによって、雪にはいろいろな名前が付けられています。
雪が舞うこの時季、雪にまつわる名称から、雪の世界をのぞいてみましょう。
【1】にわか雪
「にわか雨」ほどは聞かない言葉かもしれませんが、「にわか雪」という言葉もあります。
「にわか」は、漢字では「俄」と書きます。「にわか」は「物事が急に起こるさま」を意味するので、「にわか雪」は「急に降り出して、まもなくやむ雪」のことです。
吹雪くようなことがなければ、にわか雨よりはにわか雪のほうがよいと思う人が多いのでは!?
【2】深雪
「深雪」は「しんせつ」とも「みゆき」とも読み、「深く積もった雪」のことです。
「みゆき」と読む場合、雪の雅称(がしょう)や美称を意味することもあります。この使い方では「御雪」と書くこともあります。
「しんせつ」といえば、「新しく降り積もった雪」の「新雪」もありますね。
【3】あわゆき
「あわゆき」を、「泡雪」「沫雪」と書けば「泡のように溶けやすい雪」のことで、「淡雪」と書けば「春先に降る、うっすらと積もって、すぐに溶ける雪」のことです。
「泡雪」「沫雪」と「淡雪」はかなり似ていますが、微妙に違う感じもします。
「泡」と「沫」を合わせた熟語の「泡沫(ほうまつ)」は「あわ」「あぶく」のことで、「泡沫の恋」とか「泡沫候補」などの使われ方もします。
一方の「淡雪」は、そのまま「淡い雪」と読めば、微妙な違いもわかるような気がしますが、どうでしょうか。
【4】細雪
「ささめゆき」と読み、「こまかに降る雪」や「まだらに降る雪」のことです。
谷崎潤一郎の小説に『細雪』があります。登場する鶴子・幸子・雪子・妙子の4人姉妹のうちの三女雪子の名から『細雪』のタイトルが付けられたようです。
歌手の五木ひろしさんは『細雪』(作詞/吉岡治、作曲/市川昭介)という歌も歌っています。
小説や歌のタイトルにも使われる「細雪」。「ほそゆき」「こまゆき」「さいせつ」などではなく「ささめゆき」と読む、この言葉の響き自体が、どこか心の琴線に触れるのかもしれません。
【5】銀世界
「銀世界」は「雪が降り積もって、あたり一面、白一色になった景色」のことです。
「白一色なのに、どうして『銀世界』なの? 『白世界』でもいいんじゃないの?」と疑問を抱く人もいるでしょう。
「銀」は一般的には「ぎん」と読みますが、「しろがね(古くは「しろかね」)」と読むこともできます。銀(しろがね)は「白金」のことで、銀色(しろがねいろ)は「銀のように光る白色」を意味します。
「白金(プラチナ)のように光る白色」と考えると、一面の雪景色を「銀世界」というのも納得できるのでは!?
【6】雪持ち/垂り雪
「木の枝や葉に雪が積もっていること」を「雪持ち(ゆきもち)」といいます。(雪持ちには、ほかに「屋根の積雪が落ちるのを防ぐ装置」の意味もあります)
「垂り雪」は「しずりゆき」と読み、雪を付けずに「垂り」ということもあります。
「垂る(しずる)」は「木の枝などから雪が落ちる」ことなので、「垂り雪」は「木の枝などから落ちる雪」のことです。
雪持ちの雪が垂り雪になると、春が少しずつ近づいているのを感じるでしょう。
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