東京五輪・パラリンピックの開催について1月28日、政府内で国内在住の観客に限定して開催する案が選択肢の1つとして浮上していることを日刊スポーツが報じた。
ハフポスト日本版は同日、東京2020組織委員会を取材したところ、「観客の件を含め、開催方法に向けた案が様々な観点から浮上し、検討されているのは事実」と認めた上で、「現時点で具体的に決定していることはない」と回答した。
東京五輪、開催する場合「観客」どうなる
日刊スポーツの報道によると、新型コロナウイルスの影響が収束していない現状を受け、政府は五輪開催に危機感を募らせているとして海外客の受け入れを見送り、観客を「国内在住者」に限定する案が浮上しているという。
開催を不安視する国民や逼迫する医療面を考慮し、海外からは選手のみ受け入れると早期に国民に示すべきとの考えがあるという。
東京2020組織委員会は、この報道について「観客の件を含め、開催方法に向けた案が様々な観点から浮上し、検討されているのは事実です」と認めた。
「2020年12月に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議で中間報告をまとめましたが、現在はそれに沿って実施に向けて準備を進めている段階です」とした上で「現時点で具体的に決定していることはない」と回答した。
中間報告では、選手の安全対策を最優先とする一方、外国⼈の観客の取扱いについては「観客の安全」と「地域の安全」の両⽴を図る観点を踏まえて準備を進めるとしていた。
具体的には、外国人の観客を14⽇間にわたって隔離し、移動に際して公共交通機関を使わないことを条件とする場合、観戦が事実上困難となることから「これらと同程度の防疫措置」を構築するとした一方、引き続き各国の感染状況等を踏まえ、14⽇間隔離の維持も含めた適切な防疫措置を講じるとまとめられている。
IOC会長「憶測は選手を傷つける」と非難
一方、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は27日、東京五輪の延期や他の都市での開催案などの憶測報道は「選手を傷つける」として、改めて開催に意欲を示した。
バッハ氏は「私たちは(延期など様々な)憶測に対して時間とエネルギーを費やしたりしない。7月23日に五輪の開会式を開くということに集中している」と述べ、開催中止報道や海外の他の都市での開催案、2032年への延期報道などを一蹴した。
英BBCによると、バッハ氏は「私たちの仕事はオリンピックを『開催』することであり、オリンピックを『中止』にすることではありません。これこそが、安全なオリンピックを開催するために昼夜を問わず我々が取り組んでいる理由です」と語り、「絶え間なく報じられる憶測がアスリートを傷つけている」として非難した。
東京五輪をめぐっては、英紙タイムズの電子版が1月21日、ある与党の議員の話として、すでに1年延期された東京五輪は中止をせざるを得ないとの認識があり、現在の目的は東京がいつの日か改めて五輪の開催都市になるという可能性を残し、面目を保ちながら中止を発表する方法を見つけることなどと報じていたが、政府側がこれを否定していた。
IOCのバッハ会⻑は28日夕方、東京2020組織委員会の森喜朗会長とテレビ電話会議を行う予定だ。