英紙タイムズの電子版は1月21日、ある与党関係者の話として、政府が非公式に新型コロナウイルスの影響で東京五輪の開催を中止にする必要があると結論付けたと報じた。
焦点は2032年の大会で東京が改めて開催都市になることに向いているとした。
どんな報道が...?
英紙タイムズの電子版によれば、ある与党の関係者の話として、すでに1年延期された東京五輪は中止をせざるを得ないとの認識があり、現在の目的は、東京がいつの日か改めて五輪の開催都市になるという可能性を残し、面目を保ちながら中止を発表する方法を見つけることだとしている。
「誰1人として最初に中止を口にすることを望んでいませんが、開催が難しすぎるというのが、ほぼ一致した意見です」と関係者は述べたという。
IOC(国際オリンピック委員会)の最新見解は
開催中止に言及する報道が出る中、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長は21日、委員らとの会合で、予定通り東京オリンピックを開催する方針を改めて示したとTBS NEWSなどが報じた。
バッハ会長は、IOC委員らとの非公式のリモート会合で「7月23日に予定通り東京オリンピックを開催する」と強い意欲を示したという。また、大会の中止や更なる延期などについては言及しなかったという。
世界で相次いでいる中止の可能性に触れる報道を牽制した形となった。
一方、日本のトップは?
東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長は21日、大会の開催について、3月25日の聖火リレーが始まる前に、予定通り開催するかどうかの判断が出されるとの見解を示したと西日本新聞が報じた。
また森氏は五輪の開催について、IOCのジョン・ダウリング・コーツ調整委員長に対し「何ら変わっていない、と伝達した」と述べた。
海外では懐疑論、日本の世論調査も後ろ向きな意見
東京五輪の開催をめぐっては、菅義偉首相が、1月18日に開会した通常国会での施政方針演説で「新型コロナウイルスに打ち勝った証」としての開催に改めて意欲を示したが、海外では中止に言及する声や懐疑的な報道が活発になっている。
今月に入り、2012年ロンドン五輪・パラリンピック大会組織委員会で副会長を務めたキース・ミルズ氏がBBCラジオで「もし私が東京の組織委員会の立場にあったなら、中止プランを準備していると思います。そして(実際に)、東京の委員会は中止プランを準備していると私は思っています」と話したと報じられている。
日本でも開催を不安視する声がある。ネット上でも「ワクチン接種が行き届かない状況で開催は難しいのでは」と懸念の声が多く挙がっている。
2020年12月には、NHKが五輪の開催について世論調査を実施。
調査では「開催すべき」「中止すべき」「さらに延期すべき」「わからない・無回答」の4項目で回答を求めたところ、「開催すべき」が27%、「中止すべき」が32%、「さらに延期すべき」が31%で、「中止すべき」が「開催すべき」「さらに延期すべき」を上回ったと報じていた。